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「中村サン、はいこれ。
本縫いよろしくお願いします。」
と彼は綺麗に畳んだスーツを渡してくれた。
「はい、楽しみにしていてくださいね」
そう言ってスーツを受け取った時、ほんのわずかだが彼の手が私の手に触れた気がした。
一瞬視線が交わるが、彼の真意は読み取れない。
「中村サン、今度お茶しない？」
唐突な言葉に理解するのに時間がかかった。
「え？」自分でも驚くぐらい動揺した声が出る。
この人は何を言っているのだろう。
「いやー、実はスーツに合ううシャツとかも頼もうかなって思ってて、お茶でもしながら相談したいなって思って。」
「であれば、お店へお越しください。
中島さんはアイドルなんですから、誤解されるようなことしちゃまずいですよ。
たくさんのファンの子が悲しんじゃいます。」
説教じみて聞こえないよう明るいど世論、そして笑顔で誘いをかわす。
「そうだぞ中島、中村さんの言うとーり。」
どこからともなく菊池さんが話に入ってくる。
ナイスタイミングとばかりに私は
「えー、ではそういうことで。皆さんお邪魔しました。」
挨拶をしそそくさとドアへと向かおうとすると
「じゃあ俺中村サンをそこまで送ってくるわ」
背後から中島さんがそう話す声が聞こえてくる。
思わず振り返り
「お忙しいでしょうからここで大丈夫ですよ。
来た道も覚えていますし。」
そう早口で言うと
「ま、いいからいいから。
すぐそこまでだから、ね？」
言いくるめるように、またも背に手を添えられてドアまで一緒に向かう形になる。
もうなんなんだ。
今日はアイドル封印かと思ってたのに、終わりはぐいぐいくるやん。
ドアが開く直前、中島さんの発言に動揺していた私にむかって菊池さんが、
「今度は俺のスーツもお願いしますね」
などと挨拶がわりの様に爽やかに言うもんだから
「こちらこそお待ちしております」
と曖昧な笑顔で返し部屋を出た。
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にこ(プロフ) - risaさん» コメントありがとうございます。更新のペースはゆっくりになるかと思いますが頑張ります！引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです♡ (2021年9月24日 14時) (
レス) id: c73915c859 (このIDを非表示/違反報告)
risa(プロフ) - ドキドキしながら読ませていただきました♡ これからの展開が楽しみです！更新楽しみにしています！ (2021年9月23日 18時) (レス) id: fe924e0240 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にこ
| 作成日時：2021年9月18日 9時
