それはまるで魔法のように【７】 (ページ50)

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＊手際＊ページ50

中島 side

30「卓、あれがみじん切りね？」

帰ってきて早々、手洗いうがいをしてエプロンをつけながらオムライスですよね？と言ってAちゃんがキッチンに立つ。

9「細かい」

7「みじん切りですからね」

『包丁を斜めにしながら刻むと飛び散らなくてやりやすいですよ』

まあ、この家にいる限り卓さんには包丁握らせないので、使わないと思いますけど。と言いながら手際よく食材を切ってフライパンで炒めていく。俺と同じ事をしてるだけやのに、全然違うのは何でなん？

『ケチャップライスとバターライス、どっちがええですか？』

7「ケチャップライス」

30「バターライス」

9「ケチャップライス」

私、バターライスやから半々ですね。どっちも作るかー。と炒めた食材を新しく出したフライパンに半分移す。手際がいいこと、いいこと。

30「スープも作るの？」

『普通の人やったらオムライスだけでええかもしれないですけど、アスリート用だと栄養が偏りすぎてますからね』

7「さすがアスリートフードマイスター」

『バカにしてます？』

7「そんなことないから」

俺もここに一緒に住みたい。とぼやくけど、絶対嫌だわ。と思う。きっと鍵谷も同じ事を思ってるやろう。

『あ、スープに鮭、入れようと思いますけど』

9「ええよ、入れてくれて」

30「愛だね」

7「愛ですね」

何ですか、愛って！と笑いながら言い、冷凍庫から鮭を取り出してレンジで解凍する。出来た２種類のライスをボールに移して、フライパンは流しへ。深いお鍋で根菜を入れた水を沸かしながら次の作業。

9「東京、どうやった？」

『すごく勉強になりました！』

ガイドラインは変わってないんですけど、やっぱり現場はどんどん変わってきいますね。と生き生きと話すから、前に聞いたのにまた、本当にうちに来て後悔ない？なんて聞きたくなる。

『どんなオムライスを作ったんですか？』

7「玉ねぎデカイし生やし、とり肉パサパサやのにケチャップライスはベチャベチャ。卵もダメやった」

30「あれは食べられたもんじゃないよな」

9「本当、うるさいわ」

今度、私にも作ってくださいね。とにっこり言われたら、そりゃ頑張るしかないやろ。料理の練習もしようかな？とか思っていると遥輝からの突っ込み。

7「全部野球にセンスを吸い取られてるんで、今後料理を作ることは禁止です」

人を殺(あや)めかねない。と本当に失礼な事を言う。

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