それはまるで魔法のように【７】 (ページ36)

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＊一番風呂＊ページ36

鍵谷 side

賑やかな(？)投手組だけの自主トレが終わって、初めて向かう新しい家。卓はまだ他で自主トレ中だから家ではAが１人でいる。昨日の夜にLINEで、明日帰るから。って送ったら、わかりました！家に着く大体の時間がわかったら教えてください。と返事が来る。

３人一緒に契約した月極めの駐車場にはAの愛車のカングーが寂しそうに停まっている。その隣に俺の車を停めて、中から荷物を出す。

マンションのエントランスにあるオートロックの前でこれから帰る部屋の番号を押すと、はい。とAの声がしたから、開けてー。って言うとロックが解除されて自動扉がウィーンって開く。

そのままエレベーターに乗り込んで、行き先ボタンを押して一息ついたのもつかの間、目的階にすぐに到着。重たいキャリーケースをガラガラと引きずって部屋の前まで行って、鍵を出すのが面倒くさいからインターホンを押すと、バタバタバタッと部屋の中を走る音がするから、元気だなあ。と安心する。

ガチャガチャっと内側から鍵を開ける音がすると確認もせずに、勢いよく開くドアと同時に、おかえりなさい！と聞き慣れた声がする。

30「ただいま」

外との温度差があって鼻がジンジンする。おかえり。と、ただいま。なんて実家にいる時くらいしかしないから、帰る家に待っててくれる人がいるっていいな。と思う。扉が閉まると、ギューッと抱きついてくるA。

30「ただいま」

『おかえりなさい！』

とりあえず、部屋の中に入れて？と言って自主トレで使った荷物やら何やらを部屋に入れる。それぞれの部屋の前を通ってリビングに行く。

30「温ったかー」

『ご飯作ってあります！すぐに食べられます！お風呂も沸かしてあります！どうしますか？』

30「先に風呂に入ろうかな」

陽平さん、自主トレで疲れてると思うので、今日だけは洗濯もやりますから、お風呂入る前に洗うものだけ、洗濯かごに出しておいてください。と言われる。

疲れてるからAの好意に甘えよう。と思い、洗濯かごに洗濯物を放り込んで風呂に入る。どうやら一番風呂みたいで、キレイなお湯。気持ちいいなあ。なんて思っていると、風呂の扉の向こうから、ピッピと洗濯機を回す音。それが終わると、バスタオル置いておきますねー！と声がかけられる。

30「ありがとー、ねえ、シャンプーとか使っていい？」

『どうぞー』

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