* 寂 し い * ページ30
鍵谷 side
『陽平さん!!体重の50%かけていいって言われました!』
30「ってことは?」
『何にもなしで直立できます!』
年が明けて最初の通院。診察室から出てきたAが、松葉杖をつきながら少し離れた場所から報告してくる。
嬉しくて、本当!?良かった!と松葉杖ごとAを抱きしめると、陽平さん、大袈裟です!そしてここ病院ですから。と腕の中で俺を見上げて、シーっと人差し指を自分の口に当てる。
受付で次の診察の手続きを済ませて、一緒に病院の外に出て、車回してくるからここで待ってて。と出入り口でAを待たせる。
松葉杖をそーっと外して立つ練習を早速しているAに、A!と声をかけると、はっ。とこっちを見て松葉杖で向かってくる。後部座席のドアを開けて無事に乗ったのを確認するとドアを閉めて、運転席に回る。
『陽平さーん』
30「んー?」
『順調に回復してたら次の診察で100%体重かけていいって言われたんです』
30「そっかー」
じゃあ、もうすぐ自分の家に帰るんだね。と言うと、はい。そーなんです。と寂しそうに言うから、冗談で、寂しい?一緒に住みたい?と言ってみる。
『付き合ってない男女が一緒に住むのはダメです』
30「そりゃそーだ」
『でも2週間ずっと人と一緒に住んでたから、知り合いいない土地で1人は辛いなあ…』
30「ルームシェアなら?」
『ルームシェア?』
30「ちょうど俺、部屋の更新の時期だし、Aのところって1年ごとの更新だったでしょ?」
『はい、そうですけど』
ルームシェアなら同棲とは違ってちゃんと個々のプライベート空間が確保できます。そして1人で寂しくありません。どうでしょう?と言うと、陽平さんと2人ですか?と返ってくる。
30「2人だと不安?」
『いや、不安じゃないですけど、ええのかな?と思ってしまいます』
30「なら、卓も誘おうか?」
『卓さん!?』
30「俺、ルームシェアするなら卓以外は考えられないから」
それ、めっちゃ迷惑やないですか?と言っているけど、俺は賑やかになって嬉しいし、卓は好きな女の子と一緒に住めるから、何の問題もないけど。と思う。
30「俺は全然嫌じゃない。むしろ賑やかになって楽しいと思うけど」
『うーん…』
30「まあ、考えておいてよ。卓には俺から言っておくからさ」
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作者名:歌子(かこ) | 作者ホームページ:https://bit.ly/35Iex9O
作成日時:2018年9月24日 20時