ちょっと強引な王子様 ページ14
それから廉が席に戻って来た。
『今度は被害者ヅラか？
最悪だな、お前。』
『泣かないで。
Aさんなら、すぐ次の恋人ができますよ！
私、誰か紹介しましょうか？』
篠田さんの話の衝撃に俯いていると、
泣いていると勘違いした2人が追い討ちをかけてきた。
泣いてなんかいない。
涙だけは、死んでも見せてやらないし、
ここできっちり清算しなければ、
会社で針の筵になりながら大人しく着いてきた意味も、
ここまで好き勝手言われるのを耐えた意味もない。
今にも崩れ落ちそうになる自分に言い聞かせてから
ゆっくり息を吸って吐き出し、顔を上げた。
「お気遣い、ありがとうございます。」
私が笑顔を取り繕ってお礼を言うと
2人は面食らったようで、一瞬たじろいだ。
「篠田さん、安心して下さい。
今はこの人と結婚せずに済んで感謝しているくらいです。
ですから謝って頂かなくて大丈夫ですし、紹介も不要です。
お二人とてもお似合いですね、どうぞお幸せに。」
『っ……、
わ、私なんかの紹介じゃ、やっぱり嫌ですよね……。』
篠田さんは潤んだ目元を指で拭う仕草を見せ、
廉が私に罵声を浴びせてきた。
止まるな。
今怯んだら、また相手のペースに持ち込まれてしまう。
「それと、私の部屋にある荷物は処分しますね。
家に来られるのも、梱包してあげるのも嫌なので。」
よし、言った。帰ろう。
もうちょっとがんばれ、わたし。
力の入らない脚を、机の下で小さくぺちんと叩き、立ち上がった。
『おい！
何無視してんだよ！！』
私が立ち上がると、
廉も立ち上がり、私に手を伸ばしてきた。
しかし。
「A。」
この場に似つかわしくない落ち着いた声が私を呼び、
次の瞬間には私は誰かに肩を抱かれ、私を捕まえようとした廉の手は空を切った。
九 「悪いな、待たせた。」
振り返ると、
昨日の夜助けてくれた彼が立っていた。
『っ、お前！昨日の！！』
『えっ……、
誰？すごいイケメン……。』
九 「つくづくみっともねぇヤツ。
だから捨てられんだよ。」
『テメェ……！
この前から一体なんなんだよ！！』
「A、言いたい事は言ったな？
店出るぞ。」
「えっ……？は…、はい……。」
突然現れた彼は、私が思わず落としてしまったバックを拾い上げて埃を払い、
状況が飲み込めず、呆気に取られたままの私の手を引いて店の外へと連れ出してくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 543人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なづな(プロフ) - こ、更新停止だと……めっちゃ続き気になるんですけど自分のペースでいいので投稿ガチ待ってますね！！！！ (6月30日 2時) (
レス) id: ce04f7e435 (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - ここここここ、更新されておりますうううう！！！！！待ってました、おかえりなさい！続きは気になりますがなんぼでも待ってますので無理せずゆっくりのんびり頑張ってください(*´꒳`*) (2月18日 14時) (レス) @page36 id: a4ea62ff1b (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - ココ夢はいいのぅ....心が洗われるわい← (2月10日 23時) (レス) @page36 id: c8a07ba8e1 (このIDを非表示/違反報告)
kihararoko(プロフ) - 無理せず(ง ･̀ o･́)งﾌｧｲｯง ` о´)۶ｵｰ!!ヒロインちゃんが九井様と梵天の方たちとどういう絡みになるのかも楽しみです！きりんさん頑張れ(♡p>ω<)尸" ﾌﾚｰﾌﾚｰ (2月5日 19時) (レス) id: 7726a1bcf7 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - yumさん» あけましておめでとうございます(*´꒳`*)今年もよろしくお願いいたします！喜んで下さる方がいてくれて、私もありがたい限りです（ ; ; ）また更新がんばりますね！ (2月5日 18時) (レス) id: 410f617b43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりん
| 作成日時：2024年8月16日 15時
