……死ぬの? ページ40
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『そうです。隣の家のものです』
さっきは勢いで大きい声を出してしまったが
今度は声のトーンを下げて答える。
じゃないとまた彼の肩が上がってしまうかもしれないから
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「なんの用?」
『とりあえず、戻りましょう。ここ!ベンチに』
慌てる私とは正反対に落ち着いている彼の着ている学生服の端を引っ張るとすんなりベンチに座ってくれた。
どうしよう。
とりあえず、引き止めたけど
その後を考えてなかった。
けど、確認だけは一応しとこう。
『……死ぬの?』
「そう思ったなら、ほっといてくれ」
『……親のせい?』
「な!?」
大きい目をより大きく開けた男の子。
そりゃそうだよね。
隣の家って言っても彼の家は私の家より倍でかくて広いから聞こえると思ってなかったよね。
「聞こえてたってこと?防音室なのに?」
『私、普通の人より耳がいんだ!』
なんて自慢してみるけど今のところ良かったことなんてひとつもない。親の喧嘩は丸聞こえだし今日だって朝から喧嘩してて「子供なんていらなかった」とか言われて本当最悪なことばっかだよ。
「じゃぁ、俺の死にたい理由分かるやろ」
『お父さんの声がいっつも聞こえてた。
もので叩く音は少し弱い音だったからお母さん?』
「……すごいなお前。っ俺よりすごい」
『……お兄さん泣いてるよ。悔し涙は流したらダメ。
勿体ないよ、あんな人達の為に泣いたら』
「っ違う。これは、嬉し涙」
『お兄さん、ドM?』
「っ違うから!
っはは、久しぶりに笑ったかも
……っあ〜もう、生きたくなってくる。」
『死んだらだめ、
お兄さんは生きる価値がある人間だよ』
「……っはは。
でも、これからどうしようか
こんな時間にふらついとるのバレたら
また怒られるしなんなら殺されるかも(笑)」
なんでそんな冗談みたいに笑ってるの?
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『私、お兄さん殺されるのやだな』
「………ありがとうな。
でも、帰ろっか」
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さやちゃき(プロフ) - #TODAYさん» コメントありがとうございます!頑張ります(^^) (2021年9月18日 14時) (レス) id: b8693afb9a (このIDを非表示/違反報告)
#TODAY(プロフ) - 内容から書き方まで全て大好きです…!毎回の更新を心から楽しみにしております。これからも頑張ってください!! (2021年8月8日 12時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さやちゃき | 作成日時:2021年8月2日 11時