第73話 イニシアチブの捕獲 ページ27
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「ウィンガーディアム レビオーサ」
杖ホルダーからサッと杖を引き抜いて男子生徒へ杖先を向けた。
呪文を唱えれば男子生徒の体はふよふよと浮かんだ。
私の真上よりやや後ろに移動させて、もう一度杖を振る。
浮いている間は静かなものだが、下ろすときは呪文を解除するので当然重力に従って落ちる。
落ちてきた男子生徒を、しゃがんでいた私が上手い具合に背中でキャッチした。ドスンという音とともに背中にかかる負荷が暗に無茶な事だと告げていた。ところどころ骨がポキポキと鳴る音がする。
……運動不足だな…私…
背中に降ろす時の振動で男子生徒は意識を持ち直した。
「グフッ！」
「うっ…！やっぱりそこそこ重いなお前…」
「えっ！？ちょっ、A！？」
「うるさい…私も浮遊呪文を長時間続けては使えないんだ。だからこの体勢についての文句は受け付けない。分かったらじっとして」
「ダメだよ！Aが潰れちゃうだろ！」
「じっとしてろったら！」
顔を前に向けたまま、まくしたてるような早口で男子生徒に言いながら、私は頭の中で医務室への最短かつ人に見られる事がないルートを絞っていた。
尚も喚くルーピンに、今度はドスの効いた声で注意を繰り返した。大人しくなった彼の様子に、私はやっと一息ついた。そうだ、それでいい。今イニシアチブを取っているのは私なのだ。
それより、私の名前知ってるんじゃないか。
いや、逆に私が相手の名前を知らないのか…
「あー……男子生徒くん、名前は？」
「男子生徒くん……僕はリーマス・ルーピン。やっぱり知らなかったんだね…」
今更になって私が名前を尋ねれば、男子生徒、もといルーピンは少々落胆を込めた声色でそう言った。
「いや、覚えてないだけかもしれないよ。人の名前を覚えるのは苦手だから」
「そうなんだ…じゃあピーターも？」
「ピーター…？とは？」
「あ、やっぱり」
聞き慣れない名前に私は首をかしげる。オウム返しでそのまま聞き返せば、ルーピンは初めて私に笑顔を見せた。ぐったりとしながらも、へらりとした締まりのない顔だった。
和気あいあいとした会話が続く。これでいいのかという気持ちが胸にくすぶったまま歩くが、どうもルーピンからは敵意を感じないのだ。これでは変に警戒した私が馬鹿みたいじゃないか。
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亜京目(プロフ) - 有難うございます！ストレートな褒め言葉に顔のニヤケが収まりません…これからもよろしくお願いします。 (2018年12月4日 20時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんにちは、初コメ失礼致します。物語の設定とか描写の仕方がドストライク過ぎてとても好きです(^^) これからも更新楽しみにしてます。体調など崩されぬようご自愛くださいませ。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 雨さん» コメント有難うございます。最近の話の流れが難しく、四苦八苦しながら更新している状態です。ですが必ずまとめてみせます。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年9月22日 16時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 頑張ってください！更新楽しみにしてます！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - fairy taleさん» 暖かいお言葉をありがとうございます。自分の好きなように書いている物を読んで頂いていること、誠に感謝しております。これからもどうぞご愛読の方よろしくお願い致します。 (2018年8月29日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年8月17日 22時
