くノ一も楽じゃない―２―

デート〜帰宅後〜 ページ9

＊


家に帰ってバタバタと階段を駆け上がる。
勢いに任せて自室のドアを開けて、荷物も足元に落として、驚いる４人を無視して一番近くにいた渉に飛び付いた。


渉「いって･･･！ちょ、A？どうしたの？また泣いてんの？」


泣いてないと言いたいのに、口を開くと涙が溢れてそれどころじゃない。
もう何で自分が泣いてるのか訳が分からなくて、頭の中もぐちゃぐちゃで、聞かれるままに今日の事を４人に話した。
支離滅裂だし、泣きながらだから聞き取り辛いだろうし、何度も途中でつっかえたけど、４人は根気よく聞いてくれた。


北「なに？Aってあじが好きだったの？」

「･･･わかんない」

北「話聞いてる限りそんな印象だけど」

「わかんないけど、多分違う･･･」


ならなんでそんなに泣いてるのって聞かれても、自分でも分からないんだから説明のしようがない。
でも、好きとかじゃないと思う。


青「あのさ、Aってあじしか仲良くなかった？」

「･･･え？」

青「事務所に入って、皇輝くんと一緒に行動するようになるまで。同期以外の仲良い人ってあじだけだったとかない？」

「･･････そうかも、知れない･･･」

青「そっか」


なんだろう。
何か思い当たる事でもあるのかな。
青ねぇは少し考える素振りをしてから私を見つめてきた。


青「俺の勝手な解釈なんだけど──」


好きとは少し違う、依存や刷り込みでAの中に強く残ってるのがあじ。
あじが居れば安心だ。
あじと一緒なら大丈夫。
それが強く残ってて、今回あじがAへの気持ちを昇華するって聞いて突き放された感覚になってるんじゃないかな。
昔、素っ気なくされた時悲しかったって言ってたでしょ？
その時の悲しみと今日のがリンクしたんじゃないかなって思うんだけどって、青ねぇは優しく諭すように語りかける。


「･･･難しい」

渉「つまり、またあじに一方的に疎遠にされる感覚になって悲しんでるってこと？」

織「なるほど」

「私が、あじと昔みたいにならないって理解すればこのモヤモヤもなくなるってこと？」

北「理解っていうか安心じゃない？」

青「まぁそこは大丈夫でしょ」

織「あじだしね」

北「あじAに甘いもんな」


そうなのかな。
よく分からないけど。


まだモヤモヤは残ってるけど、さっきよりずっとスッキリした。


＊

安嶋くんのお話がこんな濃くなるとは思ってなかった･･･
他メンバーとの差よ･･･

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