姉さん 。【伊黒小芭内】

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誰かの気配を感じ重たい瞼をゆっくりと開ける。

見覚えのある天井。
私の腕にはたくさんの管が繋がれていた。

ボーッと天井を見つめていると傍で何かが割れた音がした。視線を向けるとそこには花瓶を落とし、手で口を押さえ立っているカナエちゃんの姿。









「ちょっと姉さん凄い音したけ、ど」








部屋を覗きに来たしのぶちゃんと目が合う。
目が合った数秒後、彼女の大きな目からポロポロと涙が溢れ出した。
そして凄い速さで私の元へとやって来る。









「約束したでしょ。強くなったらまた会いに来るって」

「ん」

「なのにっ…なんで、なんでAさんが死にそうになってるのよ…！！」








私が横になっているベッドに顔を埋めながらしのぶちゃんは泣き叫ぶ。それに釣られたようにカナエちゃんも涙を流し始めた。

「ごめんね」

そう言いたいけれど、長い間眠っていたせいか喉がかすれて声が出ない。








「どうした、何事？
って……やっと目が覚めたか。馬鹿弟子」



「し、は」



「いいよ。無理して喋るな」








そう言い様子を見に来た女性。私と、そして今は胡蝶姉妹の師範でもある。
師範は私の傍で泣いているしのぶちゃんの頭を撫でながら私を見た。

そして微笑み私の頭を優しく撫で、こう言った。









「よく頑張ったな。よく、戻ってきてくれた」









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