姉さん 。【伊黒小芭内】

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「…どうして、俺なんかにそんな優しくしてくれるの？」









私は目の前で涙を流し横になっているこの子の言葉を聞いて撫でている手を止める。

どうして、か
自分でも分からない、この子は赤の他人だ
…ああ、けど強いて言うなら









「君のことは、放っておけなかった」









この子を嘗ての私と重ねてしまった
師範がしてくれたように、私も誰かに手を差し伸べたかった

私は昔のことを思い出しながら、微笑み手を握る







「自分のこと、あまり卑下しないで？

……君の名前、聞いてもいい？」








私がそう聞くと、男の子は涙をはらはらと落としながら小さな声でこう言う








「伊黒、小芭内……」






「小芭内……うん、小芭内泣かないの。大丈夫だからね」








握り締められた手を強く握り返しながら、微笑む
そして、うとうとしている小芭内の頭を撫で安心させるように優しくこう呟いた









「大丈夫だから安心しておやすみ、小芭内」









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