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文化祭当日
演劇のチラシを配る為、校門に向かう。
「3年C組で眠れる森の美女やりまーす、是非観に来てくださーい」
「僕が王子やりまーす、観に来てくださーい(笑)」
本人はネタのつもりで言ってるんだろうけど
なんせ顔が良いから他校の女子が盛り上がるだけだ。
「え〜絶対観に行きます！！キスシーンありますか？(笑)」
「ありますよ〜(笑)」
「きゃ〜！本当にしちゃうんですか？？」
「ふふ(笑)観に来て確かめてね♪」
「きゃ〜！！！」
人見知りのはずの藤ヶ谷だが、こういう時は
普通にノリのいいイケメンなのでそりゃモテる。
ムカつくくらいかっこいい笑顔で
他校の女子にチラシを配る姿を横目に
俺は朝からテンション下がり気味。
あんな、練習までしたんだもん。
キスシーン、そりゃかっこよく決めてくれるんだろ。
１日３公演。２日で計６回。
劇だとしてもキスはキスだ。
くっそ！！！！！ぜってぇ見にいかねぇ！
「ちょっと〜北山サボってないでチラシ配ってよ〜」
「サボってないし、だいたい俺のが枚数多いのなんで」
「えー、本当に？じゃあちょっともらうよ」
優しくてムカつくなぁ。
こんなかっこいい藤ヶ谷が王子役やるんだから
みんな観に来ないと勿体ねぇぞ！！！
そう叫んでチラシをばら撒いてしまいたい気分だった。
俺は絶対観に行かないけどな！！！！！！
「…ねぇねぇ、北山って劇見に来れんの？」
「……あー。いや、多分サッカー部の紹介のやつあるから行けないっぽい」
「ええ！そうなの？！…そっか、そうだよね」
あからさまに落ち込む藤ヶ谷を見て
口元が緩みそうになる。
「んな落ち込むことねーだろ(笑)応援してっからさ」
「…ありがと、頑張るね。北山も部活頑張ってね」
部活なんてただの理由づけにしか過ぎない。
１回くらい観に行ける時間はあるはずだ。
だけどごめんね、
観に行きたくないんだ。
ごめんね、藤ヶ谷。
俺のハートはそんなに、強くない。
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作者名：はむ
| 作成日時：2017年4月20日 23時
