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「ねーなんで北山大道具にしたの」
「いいじゃん大道具。俺力持ちだし(笑)」
「えぇ〜(笑)妖精とかやってくれたら良かったのに」
「やるわけねぇだろ(笑)」
納得いかなーい なんてぶつぶつ言いながら
いちごオレを啜る藤ヶ谷。
劇に出ることになれば、練習にも参加しなきゃいけないし。
もちろん本番も、その場にいなきゃいけない。
そんなの想像しただけで苦痛だ。
お似合い な２人の姿なんて、俺は見たくなかった。
誰もがときめくハッピーエンド？
悲しいかな、俺には縁の無い話でしかないね。
程なくして文化祭の準備期間が始まった。
俺は教室で大道具作り。
仕事はしっかりやり遂げたい派なので、
気合を入れて取り組んだ。
「ねぇねぇ、今視聴覚室で練習やってんだけどさ、キスシーンあるのかな？？」
「え、見たい見たい、見に行こうよ！」
走って教室を飛び出す女子グループ。
行ってもいいけどそれ塗り終わってからにしろよ…イラつくわ。
「行くのは良いけど仕事終わらしてからにしてほしいよね」
「んね、マジで。」
先生から追加の画用紙を貰ってきた五関が
若干イラつきながら隣に座る。
俺も今同じ事思ってた、
なんて愚痴をこぼしながら盛り上がりつつ
俺たちは 姫と王子が出会う森の背景を作り上げた。
「ほら下校のチャイム鳴ったぞー帰れー」
教室の扉を開けた先生が、少しダルそうに下校を促す。
先生もやる事多くて大変なんだろうな。
お疲れ様です。
「んじゃ俺帰るわ、またね北山！」
「お〜また明日な〜」
五関が教室を出て行くのと入れ替えで
藤ヶ谷が教室に入ってきた。
「おー、そっちも終わったんだ、お疲れ」
「うん、お疲れ様。帰ろ〜」
台本を丁寧にファイルにしまい、
ヒョイっ なんて効果音付きで鞄に入れた藤ヶ谷
…機嫌、良さそうだな。
「どうしたの、ご機嫌じゃん」
「んー？いや〜演技って意外と奥が深いのなー！楽しくなっちゃって(笑)俺俳優とか向いてるかも！」
「そーなの？(笑)良かったじゃん、」
「北山はー？大道具楽しい？」
「た、楽しいし(笑)俺大道具向いてるかも(笑)」
「ふは(笑)大工さんにでもなるの？」
「大工さん？(笑)そうね〜〜なっちゃおうかね〜〜(笑)」
楽しそうで良いなぁと思った。
キスシーンの事は気になったけど、何も聞けなかった。
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作者名：はむ
| 作成日時：2017年4月20日 23時
