眠れる森の、 (ページ1)

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どうか、このままこの瞬間が

目を覚ましてしまいませんように。

【眠れる森の、】

「じゃあ、早速役決めに入りたいと思います！」

実行委員が黒板に、オーロラ姫と書くと
みんな口々に誰が良いかとざわつき始める。

最後の文化祭、俺たち３年C組はクラスの出し物で
「眠れる森の美女」の演劇をやる事になった。

「はい！オーロラ姫はマイコが良いと思う！」

「確かに！可愛いしぴったりじゃない？」

「えっ、私？」

…やっぱりね、なんとなくそんな気はしていた。

このクラスで一番可愛いと人気のマイコちゃん。
俺は別にタイプじゃないけど、確かに顔は可愛い。
色白で、髪がサラサラで、
短いスカートから伸びる脚が、いつも男子の目の保養だった。

「じゃあやっぱ、王子は藤ヶ谷じゃない？」

「…え、俺？」

「分かる、マイコと言ったらやっぱ…ねぇ？(笑)」

「太輔まぁ顔もいいし王子っぽいよ」

「まぁってなんだよ(笑)」

…そしてやっぱり、そんな気もしていた。

マイコちゃんがお姫様なら
藤ヶ谷が王子様。

このクラスの全員が、そう思うのも当たり前だ。

「え～～マジで俺がやんの？どうする北山～」

「……いいんじゃねぇの？…お前らお似合いだし」

「ちょ、北山までやめてよ(笑)俺とマイコはそういうんじゃないって」

なんでもいいけど俺に振るなよな。

…嘘、なんでもなんて良くない。

でも、だって。本当にお似合いだし。

周りから茶化されると、

俺とマイコはそういうんじゃない。

藤ヶ谷はいつもそう言うけど、

ただの幼馴染だって、言うけどさ。

幼馴染って最強じゃん？
そこから始まる恋って、良くあるんだろ？

……別に、どーでも、

俺にはどーでも良いけどさ。

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