赤葦京治の寝起きは悪くない【赤葦京治】 (ページ36)

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「あかーしーー！」

甘い時間に終わりを告げる突然の爆裂ボイスに2人の体が跳ねる。

…もう来たか…

予想していた男の登場にさっと体制を変えて藍沢を自分の陰に隠す。

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そろそろ試合に戻らなくてはならないのはわかっていた。

木兎さんが木葉さんに回収されるのを確認して気持ちを切り替えて立ち上がる。

『試合、あるの？』

「うん。もう戻らないと」

最後にもう一度だけ抱きしめたかったが、

これ以上は試合中のメンタルが緩んでしまいそうだったので我慢する事にした。

俺にボールを手渡してくれた彼女も変に甘い雰囲気は出してこない。

俺らは今、

試合に挑むバレー部員とそれを応援するチア部員だ。

だけど応援されるのが藍沢ってだけでどんな試合にも勝てる気がするというのは確か。

『ごめん、こんなことで休憩潰して。

試合、頑張れ』

『勝ちましょう』1年のインターハイで、メガホンを俺に手渡した時の彼女の姿を思い出す。

彼女にもらった自信を胸に体育館へと戻っていく。

ただのバレー部員とチア部員。

だけど、

届かないように

せめてこれくらい言うのは許してほしい。

「好きだよ、藍沢」

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