赤葦京治の寝起きは悪くない【赤葦京治】 (ページ30)

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柔らかく温かい。

あの時と同じ、小さな感覚。

1、2秒重なって、離れる。

ゆっくり体を離すと、彼女は目を丸くし完全に停止している。

じっと見つめてみると、じんわりと顔を赤くして、口元を抑えてうつむいた。

拒否される可能性も考えていた。

キスした後突き飛ばされる可能性も。

でもこんな、素直な反応をされると、困る。

「…悪いけど、誘ってるようにしか見えないよ」

少なくとも嫌がられなかった事で調子に乗った俺は、追い打ちをかけるように後ろの壁においやり、彼女の右側に手をついて距離を詰める。

『…っ誘ってなんか、』

やっとの事で抵抗の手を出すも、その手は俺の胸を力なく押すだけ。

両手で小さな顔を捕まえて、また顔を近づけると、彼女はギュッと目を瞑った。

…だから、そういうところだって。

小さく結ばれた小さな唇に噛みつきたいのを抑えて、寸前で止める。

困る。俺だって自分を制御するのに必死なのだ。

予想と違うおかしな間にそろりと目を開ける藍沢。

「逃げないの？」

『…逆に、逃げさせてくれるの？』

「それどういう意味か分かって言ってる？」

『……』

ふい、と目をそらす。

強引なことをして彼女を傷つけたくない。

無理やりなんて意味がない。。

でもこれはもう、彼女が何を言おうと反論できない。

俺はおとなしくなった彼女を抱え上げ、ベッドにそっと下ろした。

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