元柱だった隊員・2【不死川実弥】

91話 ページ41

地面に叩きつけられたAからは、血が流れていた。

隠が駆けつけて見てみると、Aは首が切れている。

素早く止血するが、本来なら人が死んでいる一撃。


「まだ脈はある！」

「しのぶ様の止血剤を早く！！」

「生きて石黒様！」


Aは息を吐き出す。

隠が処置をしている頃、Aの隣にカナエとしのぶが立っていた。


「A」

「Aさん」

『あ、二人とも……』

「振り向いちゃダメよ、A」

「あなたが向くのは、あそこ」

「私たちの分も、戦って」

「私たちの分も、背負って」


暗い空間で、二人がAの背中にある「滅」の字に手を重ねた。

Aは心臓の鼓動が強くなるのを感じながら、意識を覚醒させる。


「A、起きて！」


パチッ、と覚醒したAは刀を握って立ち上がる。


「石黒様！」


隠が止めようとするも、Aは瞬く間にいなくなった。

相変わらずの速さに誰もが驚いていた。


「いつのまに……」

「石黒様……」


隠は願う。

この戦いが無事に終わることを。

伊之助が鬼舞辻の一撃を食らうと同時に、Aが鬼舞辻に一撃を与える。


『雷の呼吸、肆ノ型、遠雷』

「貴様ぁぁ！！！」


こうして、Aの他にも、伊之助や善逸、炭治郎が続けて攻撃をし続ける。

血が辺りに飛び散る。それだけ、激しい戦い。

それでも、ここで退くわけには行かない。


「雷の呼吸」

『雷の呼吸』

「壱ノ型」

『壱ノ型』

「霹靂一閃」

『霹靂一閃』

「神速」

『十連』


善逸がAを見ると、Aは吐血していた。


「おねえちゃん！！」

『っ！』


いつもなら鼓舞してくれる姉弟子も、今は辛いようだ。

だが善逸も諦める訳にはいかない。


「頼む、じいちゃん」


足が潰れながらも善逸も呼吸を繰り出す。

Aもしばらくの間、眠り続けていた代償が残っている。

それでも、ここで引く訳にはいかない。

Aが上がると、炭治郎が鬼舞辻を壁に差し込んでいた。


『っ』


炭治郎が攻撃されそうなところを、今まで戦線離脱していた甘露寺が飛び込んできた。


「もういい加減にしてよぉ！！」


そう言って、素手で鬼舞辻の腕をちぎった。

そして反対の腕を実弥が斬り落とす。

Aはその様子を見ると、甘露寺がちぎった肩に刀を刺した。

鬼舞辻の形態変化で、伊黒が炭治郎を庇う。

そしてその時、


「夜明けだ！！」


と、声が響く。

92話→←90話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す