元柱だった隊員・2【不死川実弥】

72話 ページ22

食べ終わる頃だった。


「おいおいぃー、ここに逃げ込んだ輩がいるってのは、本当だったみてぇだなぁ」

「ァ？」

『わぁーお、本当に来ちゃった』


五、六人ほど大男が悪い顔で入ってきた。

お陰で店内は騒然としている。

Aは笑いながら辺りを見ると、先程の挙動不審の男が子供を人質にとっていた。


「や、やめて！その子を離して！！」

「うるせぇ黙っとれ！！！」

『あらあら、何事？』

「笑ってんじゃねェよォ」


Aと実弥は辺りを警戒して、いつでも動けるような体勢を取った。


「おいテメェらァ、今から人質だ！！」


高らかに大将らしき人物が語った。

子供を人質にとった男もその中に加わる。


「どうします？」

「そうだなぁ、おいそこの腹出してる女、来い」

『おや、私？』

「……」


Aは立ち上がると、首を傾げた。


「そうだ、お前だ」

『本当に行かなきゃダメ？』

「あ？こっちにガキも人質いるし、お前を殺そうと思えば殺せるんだよ！」

「A……」

『大丈夫よ、実弥』


Aは歩き出すと、店内の隅の方を見て少し驚いた。

意外な人物もここにいたらしい。

この人物を横目に、男たちと向き合った。


「お前、それはなんだ？」

『これ？刀だよ』

「本物か？」

『どうだと思う？』

「答えろ、コイツが死んでもいいのか」

『ならもう少し上手くこの子を捕まえていなよ』


Aがそう言うと、男たちが驚いている隙に、Aは子供を取り返した。


『ごめんなさいね、あなた達よりもずっと訓練してるものだから』

「な、何！？」

「おい！しっかり捕まえとけよ！」


Aは子供を抱えて歩き出す。


『どうする？
人質だった子供はここにいる、それでもまだやる？』


だが、男たちも簡単に諦めてはくれず、Aの背中に刃物を突きつけようとした。

辺りが悲鳴をあげようとする中、実弥と、隅の方にいた人物、冨岡義勇が男を取り押さえた。


「なんでテメェがいるんだァ？」

「……ご飯を食べに来た」

『ふっ』

「な、なんだ、コイツら！」

「急にっ」

「いっててててっで」


Aは子供を母親の元に下ろすと、子供の頭を優しく撫でた。

後ろの水と油の二人は放って。


『後はお姉ちゃんたちに任せて、あなたはお母さんに抱きついていてね』

「おねえちゃんは、大丈夫なの？」

『あそこの人達が助けてくれるから大丈夫よ』


Aは子供から離れて、二人の隣に立って尋ねる。


『これでも、まだやる？』

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