42話 ページ42
Aは寝っ転がる善逸を引き起こした。
『はいはい、それじゃもう一度、壱ノ型見せてみな』
「え、また?」
『あなたは癖がない分、本当に一を極めることができる』
立ち上がった善逸は静かにAの話を聞く。
『六連は使えるんでしょ?なら、それをあなたの弐ノ型にすればいい。
それからまた参ノ型、肆ノ型と枝分かれさせればいいのよ』
Aの単純明快な発言に、善逸は驚きが隠せなかった。
そんな善逸を見ていたAは、手のひらを拳で叩く。
『そうだ、元柱の私だけど、あなたを継子にしようかな!』
「え!無理無理無理無理無理!!」
『どうして?』
「怖いし!!俺どうせすぐ死にますし!!」
『生きるために強くなるのよ』
Aは木刀を握ると、善逸と向き合った。
『良い?明日からしばらくの間、私があなたを指導することになった』
「え、でも、Aさんけがは!?」
『ああ、それはもう終わってるからいいわ。
後はご飯を食べられるようになって、体力を回復させれば』
「そんな簡単な話かな……」
『前回と違って、皆回復も早くなってるし、全集中常中だってできるようになった。
そろそろ皆に任務が言い渡されるはずだから。
任務がある日もない日も、私のところでビシバシ扱いてあげる』
Aの恐ろしい言葉に、善逸は畏怖した。
それからというものの。
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無限に短距離を走り。
『まだ踏み込みが甘いよ!』
「はぁっ、はあっ、はっ!」
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無限に打ち込み。
『腕をもっと大きく振って!!』
「ひぃ!!!」
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障害物を用意して。
『不利な体勢からどう動くか考えること!!』
「おっと!!」
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柔軟だけの日もあった。
『そうしてもっと前に倒してみて』
「こう?」
『そうそう』
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善逸は死ぬかと思った。
鬼と戦う前と後にAと戦い、体力がどんどんついた。
打ち込みが強くなった。抜刀も早くなった。走ることも速くなった。
『これで入隊当初よりは良くなったと思うよ』
「そんな気しないけど……」
『訓練に体が慣れてるからよ』
Aは善逸と向き合う。
『良い?善逸くん。あなたの呼吸はどうしても足に負担がかかる。
だから主に足腰を鍛えた。これで多少は良くなる。頑張ってね』
善逸の肩に手を当てたAは優しく微笑んだ。
「行ってきます」
『いってらっしゃい』
そして善逸は任務に向かった。
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月19日 21時