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39話 ページ39

見舞いに来た実弥は、蝶屋敷の子たちが作った昼食(お粥)を食べていたAの部屋に入った。


「調子はどうだァ?」

『あ、実弥、やっほー。
胡蝶ちゃんには私の回復力が尋常じゃないって引かれたばっか』


Aの言葉に実弥は笑う。

確かに、と言う気持ちはある。

でなければ、あれだけの重傷からここまで回復していないだろう。


『実弥も、大丈夫?』

「あァ」


こちらは特になんの問題も無い。

Aはお米の味と水の味が混ざったお粥を食べきった。


『ふぅー、食べた食べた』

「少なくねェか」

『んー、やっぱり内臓やった後だから食べる元気が無い』

「お前にもそんなのあんだな」

『退院したら一発殴るから!!』


Aは笑う。

実弥はそんなAの寝台に腰を下ろす。


「A、屋敷の鍵はちゃんと持ってんだよな?」

『え、屋敷?どこの?実弥の?』

「テメェはバカかァ?」

『唐突な罵りぃ!』


Aはため息を吐く。

ため息を吐きたいのはこちらだと実弥は思ったが、何とか口に出さずに堪えた。

これが冨岡相手ならは容赦はしないが。


「んで、持ってんのか持ってないのか?」

『持ってるよ、一応。
基本あっちで寝たりはしてないけど、どったの?』

「なら良いんだわ。またテメェのことだから木の根っこ掘って埋めてんのかと思ってよ」

『そんなことしたこもないでしょ!?酷くない!?』


Aは笑いながら実弥の肩を叩いた。

実際、Aの言う通りそのようなことは一度も無い。

どちらかと言うと心配性なAは、しっかり施錠してる。


「ははは」

『笑い事じゃないよまったく……』


Aはため息を吐いて、笑った。

しばらくの沈黙の間、実弥が重たい口を開いた。


「なァ、A……」

『実弥、言いたいことは分かる。けどもう暫く待ってて』


Aは、実弥が何も言わなくとも、その真意を理解していた。


「二回も死にかけてんのにかァ?」

『分かってる、実弥がすごく心配してくれてることは。
けど、私にもやる事はあるの』


凄む実弥に、Aは臆することなく答えた。

お互い引けない中、手拍子が叩かれた。


「どちらも興奮しないでください。
不死川さんも血が足りていないんですから。Aさんだって病み上がりですよ。分かってるんですか?」


二人が音のした方に目を向けると、笑顔で怒っているしのぶが立っていた。

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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月19日 21時

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