31話 ページ31
Aside
週末。
私は菓子折を持って、不死川家に向かった。
インターホンを押すと、不死川くん……んっん、実弥が出てくれて。
「おはよ、A」
『おはよう、実弥』
実弥はそう言って、ドアを開けてくれて、私は中に入った。
『お邪魔します』
「はーい！どうぞ〜！」
奥の方から、女性の声が聞こえた。
私は玄関に靴を揃えると、実弥を追いかける。
「ごめんなA、迎えに行けなくて」
『いいよ、全然』
リビングに入ると、ソファーで子供を背負いながら洗濯物を畳んでる実弥のお母さんが居た。
『初めまして、先日から実弥くんとお付き合いさせていただいてます、白濱Aです』
「初めまして、実弥がお世話になってます」
『あの、良かったらこれ、ご家族で食べてください。
幼い子もいるって聞いてたので、その子たちには半年から食べられるお菓子も入ってるので、良ければ……』
「まぁまぁ、ご丁寧にどうも。
ありがとうね」
そう優しく笑うお母さんの表情は、まったく実弥とそっくりで。
とても温かい。
本当に愛されてるんだなってのが、分かった。
「そうだ、Aちゃん、ご飯食べるわよね」
『え』
「今は居ないけど、お父さんもあなたに会いたがってるから、良かったら一緒に夕飯まで食べていかない？」
『……良いんですか？』
「そうしてくれると嬉しいわ！
ね、実弥」
「一緒に食べようぜ、A」
『あ、うん…』
「何か、ご家族の都合とかもあるかしら？」
『い、いえ！それは無いので、大丈夫です！』
「良かった！」
家族の温かい雰囲気になれない私は、こういう時どうしたら良いのかが分からない。
でも、嫌な感じはしなくて、胸がポカポカした。
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作者名：やぁと | 作成日時：2021年10月1日 23時
