第２話 ページ10
初めに前を通った時は、呪いの気配なんて感じなかった。
それが今、感じるという事は誰かが呪いを放ったか――――。
呪霊は負の感情が溜まり、形を形成したものである。つまり、多くの負の感情が――――人間が集まるような、例えば学校、病院なんかは呪霊が発生することが多い。
「待って」
学校の中に入ろうとする真希を、Aは声で制した。なんだ、と真希は目で問うてくる。それにAは逃げるように、目線をさまよわせる。
「真希があたしよりずっと、すっごく強いのは知ってる。でも」
そう言うと、Aはほとんど睨む様に真希と校舎を見る。
「あたしたちが今からやる事は、任務外のことで、やんなくても良い事だから、呪霊を倒さなくても良いんじゃない？」
へぇ……と真希は感心したように、首をかしげて笑ってみせた。
「じゃあ、どうすりゃ言いわけ？」
この２人、伊達に約１年間、相棒をやっていたわけじゃない。
Aは真希の事を理解しているつもりだし、真希もAがテンパっている時は言葉足らずになる事を理解している。
Aは真希の目を見て、深呼吸をしてから淡々と言う。
やはり深呼吸は良いのだろうか。待って、と言った時よりも落ち着いた気がする。
「任務外の、死んだって自業自得だとしか言われない案件。だったら死なない方が良い。だからあたしたちは最低限の事――――生存者の救出、及び確認だけをする。そっちの方が、任務帰りで疲れてる４級術師には効率が良いと思うんだけど」
どう？ と聞いてくるAに、真希はフンと笑う。
「良いんじゃん？」
「あ、そうだ」
「なんだ」
「これが終わったら、スタダつき合ってよ」
「何でそうなるんだ」
しかし、高校生とはいえ小学校に見知らぬ人間がそうそう簡単に入れるわけがない。どうしたものか、と校門の前で少し考えていると、校舎の中から勢いよく、小学校４年生くらいだろうか、少年が走って出てきた。
顔色が悪い。
「おい坊主」
真希の声に、男の子はビクリと肩を盛大に振るわせた。ただでさえ女子生徒の中でもスタイルが良い――――背が高めの真希は、小学生から見たら少し威圧を感じてしまうだろう。
Aは少しかがんで、男の子と合わせる。
「こんにちは。顔色が悪いけど大丈夫？ 中で何かあったの？」
校舎を指さして問えば、男の子は歯をカチカチカチと言わせた。
何かがあったのかは明白である。
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (
レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます！ これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください！ (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます！ (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作！？ ありがとうございます！ 嬉しいです！！ コメントもありがとうございました！ (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀｀)bｸﾞｯ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゆ | 作成日時：2020年10月28日 22時
