閑話休題 ご褒美 ページ23
狗巻棘side ※狗巻くんの一人称は僕でいきます
*
普段はあまり立たない、寮の自室に備え付けられている小さなキッチンに立って、僕はせっせと塩にぎりを作っていた。
炊き立てのご飯をラップにくるんで塩を振る。塩は多めの濃い味で!という注文が入ったので、まんべんなくいっぱいに。ぎゅっぎゅっと握って形を整える。
できたおにぎりをお皿に乗せて、部屋のど真ん中で漫画を読んでいるAのところに運んだ。
「明太子ー」
『わぁ、先輩おにぎり握るの上手ですねー!おいしそう!!』
テーブルに置くと、満面の笑みでお皿を覗き込んだAが嬉しそうにスマホを構えて撮り始めた。
ついでに、Aを部屋に入れたときも何故か連写された。『狗巻先輩のエプロン姿…!似合いすぎて破壊力エグいですね!』と興奮気味に。そんなに似合ってるだろうか??
『いただきます!』
お行儀良く両手を合わせたAが、期待に満ちた瞳でおにぎりを一つ手に取る。…そんなにキラキラした目で観察されると緊張するからやめてほしい…。
一口、大きめに頬張った。心臓が早くなる。ハラハラしながらAを見つめると…。
『んん〜…!おいひいです!…ホームラン打てて良かった〜!』
グッと突き立てられる親指に、ホッと息を吐く。得点できたらご褒美なんて言った手前、まずかったら申し訳ないし…。
ん?よく考えたら、塩にぎりに美味しいも不味いもあるのか???だってご飯に塩かけるだけだよ??
「ツナマヨ」
『何言ってるんですか!全部一緒じゃないですよ、塩にぎりだって色々あるんです!現に昔お義兄ちゃんに作ってもらった塩にぎりはあんまり美味しくなかった覚えがあります』
「いくら?」
『何ていうんですかねぇ、美味しい塩にぎりからは愛情が感じられるんですよ。ほら、料理は気持ちが大事ってよく言うでしょ?』
Aが、僕が作った塩にぎり片手に熱弁し始める。愛情って、かなり恥ずかしいことを言っている自覚はあるんだろうか。たぶん無さそうだ。
『——だから、狗巻先輩の塩にぎりからは温かい愛情が感じられ……』
「高菜?」
唐突に止まった塩にぎり談義に首を傾げる。どうしたの、と聞くと…Aの手の中のおにぎりがわなわなと震え始めた。
「こんぶ!?」
『っ〜…いやっ、その!!違うんです、私、そういうつもりで言ったんじゃなくて…!あの、わ、忘れてくださいっ』
驚いて見たAの顔は真っ赤に染まり、全力で僕から目を逸らしていた。
*
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
今日の名言or名場面
五条「強くなってよ。僕に置いていかれないくらい」
112人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ