9.かつきくんはぁはぁ！！！ ページ9
とか言ってる場合じゃないんだなコレが。
・
爆豪くん、汗かいてる。
全力疾走して帰ってきたんだから当たり前か。
でも決して汗くさくなんかなくて、むしろいい匂いがする。
洗剤じゃなくて柔軟剤のやわらかくて優しい匂い。ああ、悔しいかな。この匂い、結構好きかもしれない。
そして、男の子特有のしっかりした首筋に汗がうっすら垂れると、凄い色っぽい。高校生にしてその色気は将来有望だね爆豪くん。
彼は着痩せする人らしく、触れている胸板や腕は意外とがっしりしている。トレーニングしてるんだろうな。
そして何より、
(近い近い、近過ぎる…！！！)
彼の首に鼻先が当たってしまうほどの至近距離。ていうか埋まっている気がする。
死ぬ、死んでしまう。
この状況で顔真っ赤にせずドキドキせずな女子がいたらそれはもう女子ではない。
私は女子だからありえないほどドキドキしてるぞ今。暴れだして止まらない。
大体、狭いからとはいえ、なんで爆豪くんは肘ドンなるものを実施しているのか。狭いからである。そう、仕方ない。
いやその前に何故こんな狭い所に押し込んだ上に自分も一緒に入ってきたのか。この時間になんの意味があるのか。そもそも時間とは何なのか。時間という概念は何なのか。地球は誰がつくったのか。
だめだ、頭がクラクラしてきた。
ちらりと爆豪くんの顔を見上げると、彼も私の方を見る。真っ赤な眼と目が合った。
あ、顔真っ赤なのバレた。
私の茹でダコの様な顔と、可哀想なくらい運動している心臓に気づき、彼は鼻で笑った。
・
(髪の毛抜いてやろうかと思った。)
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作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
