45.道行く人にめたくそ見られてる ページ45
何せ彼はめたくそに目立つ。
・
「轟くんは私のことお母さんか何かと勘違いしてない？」
「……言われてみれば、お母さんに似てるかもしれねえ」
「え！？ほんと！？？」
教室から一緒に付き添わず、何故か校門で待っていた轟くんと共に学校の近くのショッピングモールに来た。
何故私はA組顔面偏差値ランキング男子部門堂々の1位のイケメンと一緒に放課後ショッピングしてるんだろう。
私は困惑という感情でいっぱいなんだけど、轟くんのいつも通り感が凄い。まあ彼からお誘いがあったんですけど。
轟くんはよく分からない生き物の抱き枕がお気に召したようで、さっきから持ち上げたり値札を見たりしている。
「A」
「んー？」
「まだ悩んでるか？」
気づけば彼は私の方をじっと見ていて、彼が抱えている変な顔の抱き枕も、私のことを見ていた。
そういえば、こないだ恋のことを聞いたのを思い出す。
「……悩みね、増えたんだよね」
「お。俺のせいか？」
「いや轟くんのせいではなく！！別件で、ちょっと」
そうか、と彼は少しだけ俯いた。
さらりと美しい前髪が重力に従って、それから彼はレジに向かって歩き出していた。
(買うんだ……………)
しばらくして戻ってきた轟くんは、購入したであろうそいつを私に押し付けた。
「え？くれるの？」
「これを俺だと思って大事にしてくれ」
「似ても似つかないけど」
Aが何に悩んでるか知らねえけど、と彼は続けた。
「怒れたら殴ってくれ。寂しかったら抱きしめてくれ。あまり悩むな。俺はAの味方だから」
「轟くん、あんた、」
・
(さすがにいい男すぎない？)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4321人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
