41.夢か現か ページ41
私はどちらも欲しいのだ。
・
『どうして私を指名してくれたんでしょうか』
『お前は火を操るセンスがあるんだと。威力の小ささと許容量の少なさをこちらで鍛えさせて欲しいと…まあ、伸び代があるっつー意味で認められたってことだな』
火力の調節…それ、轟くんにも言われたなぁ。
このヒーロー飽和社会に、ヒーロー志望の学生など星の数ほどいる。そんな中で私を見込んでくれた理由が、言われてもしっくりこなかった。
何をそんなに。
というか、どこで見られていたのだろうか。やっぱり体育祭？
・
「……っていう話が来てるの」
親には話した。
母は、私が高校生活を心から楽しんでいることを知っている。
いつものようににこにこしながら言った。お母さんはどっちを選んでも素敵な未来になると思うから嬉しい、と。
「大丈夫」
父は、いつものように不機嫌そうに言った。 父さんも母さんも何も口出ししないから、Aが選ぶんだ、と。
「見ているから」
放任主義な訳じゃない。私に選ばせようとしてるんだ。
高校一年生、15歳。早すぎる人生のターニングポイント。
「ぷりんちゃんは、どう思う？」
棚の上に笑顔で座る、人形に問いかけた。当然だが返事はかえってこないし、表情も変わらない。
ああ、ぷりんちゃんも、お父さんとお母さんと一緒なんだ。
これは自分で選ばなくてはいけない。
「……みんなと離れるの、やだな」
気を抜いたら涙が出そうだった。
私はなんて弱いんだ。
・
(ヒーローにだって勿論なりたい)
(でも、手放したくないものが山ほどある)
42.爆豪勝己記念日(七文字熟語)→←40.天秤が揺れ始める
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4322人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
