26.なんなんだよこの遭遇率 ページ26
ウケるな。ウケてたまるか。
・
「さっきはごめんね」
「……今かよ」
お互い、お風呂上がりのほかほかの状態で出くわしたのは偶然だった。
ちょうど夜の8時くらい。共用スペース内にある自販機の前で、彼は炭酸水を片手に立っていた。
昼にあれだけ言ったのに、惜しみなく上腕二頭筋をさらけ出すタンクトップに下はジャージで、首にタオルという姿。
私がそれやったらお母さんに「おっさんみたいだね(笑)」って言われたのに、爆豪くんがやってもただのイケメン。どゆこと。
「私もジュース買う」
「…………………」
「えっ、ちょっ、なんでそんなそそくさ帰るの」
無言で立ち去ろうとする爆豪くんの右手首を掴む。どうだこの握力。体力テストは握力しか脳の無い私が来た！！(オールマイト風)
彼は今どうやらマナーモードのようで、黙ったまま眉間に皺を寄せる。
睨んでるのか？ふはは、爆豪くん歴何年だと思ってるんだ。マナーモード爆豪くんなんて怖くないわ全く。
不機嫌そうな爆豪くんを他所に、私は口角を上げて言う。
何故か彼と話したかった。年中隣の席なんだから、呼び止めなくたっていつでも話せるのに。
不思議なことに、今、話したかった。
「部屋帰っても暇だからちょっとだけ話そ」
半ば無理やり、彼を引っ張ってソファに座らせる。
マナーモード爆豪くんは抵抗しなかった。これもすごく不思議なことだった。
・
(大人しくって大変よろしい)
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作者名：- | 作成日時：2017年8月15日 6時
