56. すき焼きと業務 ページ6
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「うぃ！お待たせ！」
大将(「Aちゃんはそう呼んでや」と言われた)が
運んできたのは、熱々そうな鍋。
濱田が蓋を開けると、中はすき焼きだった。
「うっわぁ！すごく美味しそう！」
思わずテンションが上がる。
「やろ？ま、食うてみ？」
「「いただきます」」
「うわ！うっま！」
「んー！おいしいね！」
目を合わせ美味しいと言い合う私達を見ていたおっちゃんがふと
「なんや2人えらいお似合いやなぁ」
ニコニコと呟いた。
「…や、そんなこと…」
照れながら答える濱田。
えっ満更でもない感じ？
……あ、これも業務か。 そうだよね。
無意識にぎゅっとポケットに入ってる
イルカのキーホルダーを握った。
「…そんなことありませんよ。
これも濱田にとっては業務ですから。」
そう私が答えると、顔を曇らせた濱田は
持っていたお皿をゴトリと置いた。
「…ちゃいますよ。｣
「……え？」
「…俺は、今、濱田崇裕として、1人の男として、
純粋にデートしてます。業務なんかやないです。」
大将は何かを察していつの間にか居なくなってた。
濱田の真剣に話す目から視線が逸らせない。
「…信じてください。」
「うん …失礼なこと言ってごめんなさい、」
「や、分かってくれればええんよ」
そう笑って、またさっきみたいな濱田に戻った。
その笑顔も信じていいんだよね？
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作者名：ちい
| 作成日時：2017年10月9日 0時
