能面執事２【紫】 (ページ32)

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濱田とユメページ32

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Takahiro side

コンコン

「失礼致します。」

これは、今から約6年前の、

俺が22歳。

A様が18歳の頃のこと。

「A様、お早う御座います。

朝です。起きてください。

学校に遅刻してしまいますよ。」

「ん……あと5分待って」

「そのお言葉は、もう聞き飽きました。

神山特製パフェが…」

「起きるっ！」

予め開けておいたドアをさーっと抜けて走っていくA様。

「俺よりパフェなんか…」

少しだけため息をついて、後を追うと

神山と、神山特製パフェを頬張りながら

楽しそうに会話するA様。

俺にその笑顔を見せてくれたのは、

いつが最近やったかな。

…考えるだけ無駄か。

いつものように、朝のこの時間に一日の予定を言って、

着替えを促す。

朝食を食べている隙に、急いで制服やら車の整備やら支度をする。

この時はまだ重岡を雇う前やったかな。

春の陽気うららかな今日は卒業式。

つまり、A様の制服姿を見るのもこれで最後。

寂しい…

あっ？ロリコンちゃうからな！

いつも通り部屋から出てきたA様。

心なしか、その目は潤んでいるようにも見えた。

あぁ、この立場が無ければ拭ってやれるのに…

「…参りましょう。」

そんな思いは心の奥に閉じ込めて廊下を歩いた。