能面執事２【紫】 (ページ17)

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67. 苦さと苦しさページ17

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重岡からの心配そうな視線を

ルームミラー越しに感じながら着いた、結婚式場。

明日の今頃には…

そう考えただけで心が痛い。

今前にいる濱田は、

どんな顔でこの広すぎる教会を見つめているんだろう。

「いってらっしゃいませ。」

重岡が深くお辞儀をした。

やだなぁ、今日に限って真面目に仕事しないでよ。

進んでった濱田を追うように走り出しつつ、

重岡の方を振り返ると、拳をぎゅっと握り

がんばれ

と呟いてるのが見えた。

「いらっしゃいませ。

中間A様、お待ちしておりました。

早速、こちらへどうぞ。」

黒のパンツスーツのスタッフの方に連れられて部屋を進むと、

あるのは白いドレスしかない部屋。

「綺麗…」

女性の夢、と言われる結婚式。

あの真っ白なドレスを着るのがこんなに早いなんて。

……隣に好きな人がいるのに。

…知らない相手となんて。

思わず出そうになった涙をぐっと堪えた。

「全てご試着が可能となっております。

…執事の方がいらっしゃるのであれば、

試着の際にはお手伝いなさってあげてくださいね。」

「……はい、」

朝からいつもよりテンションが低い濱田は

小さく返事をした。

ではごゆっくり。

バタン、と閉じた扉の音は私たちの間をすり抜けていった。