能面執事２【紫】 (ページ15)

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65. 明日と今日ページ15

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やがて1ヶ月が過ぎ、

何の抵抗も出来なかったままやってきてしまった

結婚式前日。

このまま名も顔も知らぬ人と

一生一緒に居なくちゃならないのかと思うと、

毎日が酷く憂鬱で、

どこか遠くへ行ってしまいたいような気持ちにさえかられた。

政略結婚なんて…今どきじゃないなぁ……

「A様？…顔っ」

鏡越しにほら笑って？って言うのは望。

そうだった、メイクの途中だった。

「陰気な顔すんなや、

……まあそうなるんも分からんでもないけど…」

彼なりに私の心情を察してくれているみたいで、

なんだか申し訳なくなった。

コンコン

「失礼します。」

濱田がメイク中に入ってくるのなんて珍しくて、

思わず振り返る。

「あー！ちょ、ライナーズレた…！」

望が焦る声を尻目に、濱田が話し出す。

「本日は、明日の結婚式でお召しになるドレスを選んで頂きます。｣

そっか、そういえばドレスとかまだ選んで無かったっけ。

式場の準備はきっとその両家のメイドや執事が

やってくれるんだろうから大丈夫だろうけど。

ただ、2点ほど申し訳ないのですが…と続ける。

「こちらがその店に向かうことになっているのと、

お相手の方の代わりに、

私がついて行けとのご命令を預かりましたので、

ご了承ください。」