小瀧くんの専属××

Secret36 ページ36

望side





望「俺、彼女と別れてん笑」



笑えないことやけど、笑って言うしかない。





柚「えーーーーーー！！！」




茶色い綺麗な巻き髪を揺らして驚く田内さんは

どことなく嬉しそうに見える。



その姿はAとは対照的で、可愛らしい。



ちっちゃくて、小動物みたいで。



大人っぽい雰囲気のAとは全然違う。









今日は俺だけ専属モデルの仕事が入ってたんやけど

撮影場所に入ってきたのはAやなかった。





きっとまだ、熱が下がらないんやろな。





綾乃さんは別の仕事が入っていたらしく、
オフのはずなのに、田内さんが来てくれた。






柚「あの報道で？」




ほんまに、俺は酷い奴やで。



望「ちゃう。他に好きな子が出来てん。

俺から別れた。」





田内さんはAの親友。


傷つけたらあかんことくらい、わかってんねん。




でも、俺を気にせず

しげと付き合ってほしいやん。






望「一緒に働いてる子やねんけどぉ…」




そう言うと、急に顔が険しくなる田内さん。



柚「Aは彼氏持ちだよ。それだけはやめてよね。」







あぁ、彼女はいい人や。


そんな人を騙すなんて、罪悪感しか感じない。







やっぱりAの親友や、と思った。


ええな、こんなに思ってくれる親友。



でも、それはきっと

日頃からAが優しくしてあげているから。




塩対応な彼女やけど、本当はめっちゃ優しいから。


高校生の時から、彼女はみんなに優しかった。



だから、Aの周りの人は

みんな彼女のことが好きやねん。









望「Aさんやない。綾乃さんでもない。」



ようやく、彼女も意味がわかったようで。




柚「…期待、しちゃうよ？」



頬を赤らめて、そう呟く。



俺はその問いかけに

笑顔を返すことしかできひん。





こうやって期待させても、結局は応えられないんやもん。




な？俺、最低やろ？









.









.





あ、せや。しげに電話せな。




望「もしもし、しげちゃ〜ん？」



重「なんや、小瀧ぃ〜」



望「あんな、頼みたいことあんねんけど、」




最後くらい、格好いい彼氏でいたかってん。


恋のお手伝いくらい、させてや。

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