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でも、しょうがない。お互いの将来のため。
彼はアイドルで、私は普通の会社員。
彼は「もっといい相手がきっと見つかる」なんて言ってくれたけど、私はどうしても彼しかいない!と思っていて。
せめて何か形に残るものを、と思って、送り際に半ば無理矢理押し付けた、ダイオウグソクムシのストラップ。
貰った時のじゅんちゃん、悲しそうに笑ってたっけ…
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「おーい、A?」
あっ、いけない。
昔のことを思い出して、軽くトリップしちゃってた。
「あはは、ごめんごめん。」
「…忘れられないんだね、ダイオウグソクムシの彼。」
「ダイオウグソクムシの彼って、笑」
サチの言葉に、少しだけ笑顔になれた。
「でもさー、会えないの?ダイオウグソクムシ君。」
ダイオウグソクムシ君って。
「長いな、深海生物君にしよっか」
「大して変わらなく無い?笑」
そう?と言って笑うサチに、つられてこっちまで笑顔になれた。ほんと、この子はいい子だ。
「とにかく!会えるといいね、その人に」
「…そうだね」
会えるかな。多分、会えないだろうな。
だって、じゅんちゃんはあの日から、アイドルの淳太くんに変わってしまった。
遠い存在になってしまった。
あの時のじゅんちゃんは、多分もう、いない。
「昼休み終わるね、そろそろ行こっか」
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作者名:とらい | 作成日時:2019年6月18日 22時