Can't stop toxic ２

48 望 side ページ4

望 side






–––––––––あの日、あの場所で開いた扉。




何気なく目を向けたその瞬間、俺の呼吸は




５分、いや１０分くらい、止まったと思う。









「いや、それ死んでもうてるやないか」



「だってそんくらいビビったんやもん！」






中華料理店での話し合いは平行線のまま解散となり、そのまま濱ちゃんの家へ帰った俺と流星。




そこで話題になるのはやっぱり、ジャニーさんが連れてきた彼女のことで。




開いた扉から入ってきた彼女を見た瞬間、雷にでも打たれたんちゃうかってくらい、電気が走った。




その後も、彼女と目が合うだけで、ドキドキして。






「いや、たしかに綺麗かったよな、あの子！」






流星も少し、興奮気味。






「えー、痩せすぎちゃう？俺はもうちょい太ってる方がええな」



「････････････、」






濱ちゃんの言葉に、でも意外と胸あるで、と言いかけて、やめた。




隣に座っていた俺だけの、秘密にしよう。




ついでに、甘くていい匂いがしたことも、なんとなく秘密にしとく。









「それはそうとさ、淳太くんめっちゃキレてなかった？」






流星の言葉に、うんうん、と頷く俺ら。




まぁ、淳太くんの気持ちはよくわかるよ。





聞くところによるとあの子は、神ちゃんや流星と同い年の二十歳。




芸能界とは無関係のど素人らしく、いくらなんでも頼りない。





デビューを直前に控えて、肉体的にも精神的にもピリピリしている俺らに



急に現れた彼女をはいはいよろしく、と受け入れられるほどの余裕なんて、１ミリもなかった。





大事な時期、自分たちはもちろんのこと、周りを取り囲むスタッフでさえ失敗は許されないのだから。







「どんだけ可愛くてもな、それとこれとは別やで」






濱ちゃんの一言に、俺も流星も頷いた。








････残念だけれど、もう会えないかもしれへんな。






「俺の恋、たった２時間で終わってもうた〜」






そう言って泣いたフリをする俺に、流星がツッコむ。






「恋って(笑) お前ちょっと単純すぎひん？」



「いや、流星にだけは言われたないわ(笑)」








恋なんてのはもちろん冗談で。



そんな余裕も時間も、ない。




みんなよりもずっとずっと歳下の俺。



愛だの恋だの言ってる暇があるなら、置いてかれないように努力し続けることの方が大切だから････。







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