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Your side





そして夜は、喜多川さんのお誘いで、ご飯へ。






「せっかく来たんだから、もうちょっと観光もしたらよかったのに」



「いいんです、稽古を見てた方が楽しかった」






なんて答えたけれど、わたしにはわかる。




喜多川さんは最初からこうなるって、予想していたんじゃないかな。






「・・・・そもそも、観光させる気なんか、なかったでしょ?」






わざと睨むように言うと、喜多川さんは聞こえてないフリをして誤魔化した。






「ところで、僕からのラブコールにいい返事は出来そうかな?」






ここでいうラブコールとは、仕事の話。









「・・・・・・・・やっぱり、わたしには無理です」



「おや、それはなぜ」






それはなぜって・・・・。



なんでこの人はこんなにわたしを推すんだろうか。






「わたしには荷が重すぎます!それに、歓迎だってされてない」







みんな仲良くはしてくれたけれど、それは喜多川さんが連れてきた客として、迎え入れてくれただけ。




わたしが仕事に関わるとなれば、また別の話。





とくに中間くんは、大反対しているのが前面に出ていた。






「じゃあ、彼が君を欲しがったら?」






食い下がり、しかもなぜか楽しそうに聞いてくる。






「もう!ないですないです、ありえない!」






ピシャリ、と言い放つと、肩をすくめる素振りを見せた。







そして、しばらく考え込むように黙った後。






「ここからは、真面目な話なんだけどね、」






と、言って話し出した喜多川さん。







それは数ヶ月前からわたしが大阪にくる直前まで続いた、胸が締め付けられるほど痛々しい話で。






「これを踏まえて、いい返事を期待してるよ」






そう言って、温かい烏龍茶を口に運んだ。








「・・・・・・・・・・・・、」






わたしは胸が痛すぎて、言葉が出なかった。








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のの - とても面白くて引き込まれます!!更新されるの楽しみにしてます!! (2018年11月1日 16時) (レス) id: 365eb0a412 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - Momijiさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると、作ってみてよかったなぁと思えます( ´艸`)亀更新ですが、これからもぜひ見てやってください! (2018年9月23日 14時) (レス) id: 5e11c879ce (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - たたろんちーの。さん» コメントありがとうございます!見てすぐ直させていただきました。言われなければいつまでも気づかなかったかもしれませんε-(´∀`; ) (2018年9月23日 14時) (レス) id: 5e11c879ce (このIDを非表示/違反報告)
Momiji(プロフ) - とても感動して 一気に読んでしまいましたw これからも楽しみにしてますヽ(*´∀`)ノ (2018年9月20日 12時) (レス) id: 2e55428159 (このIDを非表示/違反報告)
たたろんちーの。 - 47が2つありますよ! (2018年9月19日 22時) (レス) id: 095122a28b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カンナ | 作成日時:2018年9月19日 17時

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