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それからどれぐらいの時間が経っただろうか。
永遠とも思える時間、俺は時計の針ばかりを視線で追いかけ、目が回りそうだ。
それでもまだ３０分ほどしか経っていない。
黒板の文字も、教師の話も、今の俺にとっては宇宙の果てで行われているかの如く、蚊帳の外。
どうでもいいような時は案外早く時間は過ぎていくのに、こういう時の時間というのは本当に意地悪に感じる。
残りの時間も、こんな不安や焦りの中時計の針を追いかけまわさなければいけないのかと思うと、胃のあたりがキリキリと痛むのを感じた。
けれどその時、スラックスのポケットに入れていたスマホが、ブルブルと振動する。
突然のことに俺は思わず腰が浮いて机の裏で太ももを強打した。
「どうした曽野？」
ガタンという音が教室に響き渡り、教壇で何やら文字を書いていた教師がこちらを振り向くと同時に、クラス中の視線が俺に向けられ、とたんに恥じらいが沸き上がり俺の体温は急上昇していった。
顔が熱くて全身の毛穴から変な汗が噴き出していくようだ。
クスクス笑う声や、何やらひそひそと話す周りの声が、否が応でも耳に入ってくる。
しかしその間にも、スマホはブルブルと震えて、俺の事を呼んでいる。
もしかしたら、柔君かもしれない。
なかなかバイブレーションが切れないということは、電話をかけてきている。
早く出なければ。
俺はスラックスのポケットに手を突っ込んで、スマホを机の下になるようにそっと取り出すと、その画面を覗き込んだ。
画面には、「山中柔太朗」の文字と共に、通話を許諾するか拒否するかのボタンが映し出されている。
やはり、柔君が電話をかけてきている。
授業中ということはわかっているだろうに、わざわざかけてくるということは、緊急の何かが起こっているのかもしれない。
それを、俺にかけてくるということは、俺にそんな緊急の話があるという可能性が高いのだ。
しかし、出来ればこんなことで目立つのはごめんだった。
こんな周りの空気を乱すようなことは、俺の人生で今まで一回としてなかった。
俺の安全な高校生活が、たった一本の電話で脅かされているのだ。
このまま、「すみません」と、言って静かに席に座れば、まだちょっとした笑い話で、明日には皆忘れてくれるだろう。
それなら、また俺の安全は確保されたも同然だ。
それが、今のこの場の空気を読むということだ。
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milkssss(プロフ) - めるてぃーさん» ありがとうございます！明日には完結できるように頑張ります！！ (2020年1月30日 19時) (
レス) id: a9a20d4e33 (このIDを非表示/違反報告)
めるてぃー - 更新がはやいので嬉しいです、頑張ってください！ (2020年1月30日 5時) (レス) id: 3d377f7936 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです！ (2020年1月21日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごく続きが気になります！ 更新頑張ってください！ (2020年1月20日 21時) (レス) id: 715edf2e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年1月20日 19時
