溺れる偽愛 (ページ25)

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とりあえずビールを勝手に頼まれてそんなに得意じゃないお酒を無理矢理半分まで流し込む。

弱いせいか顔が熱くなるのが分かって、だんだんふらふらするのは気のせいか…。

《Aちゃん弱くない？》

《大丈夫？》

「大丈夫！」

なんとなく気持ちよくなってきて、誰に話しかけられても会話を続ける余裕ができた。

『大丈夫じゃないでしょ』

そう言って隣に座ってきた樹くんが、心配そうに私の顔を覗き込む。

『水飲みな』

渡された水を少し飲むと、熱くなっていた顔がだんだん冷めていくような感じがした。

『無理に飲むからだよ。やめとけばいいのに』

「だって…」

私が持っているお酒を取り上げると、そのまま口に流し込んだ彼。

《なに、お前らって仲良いの？》

《もしかして付き合ってるとか？》

急にそんな声が聞こえて思わず言葉を失った。

なんて言えばいいか分からなくて黙り込んでいると、

『うん。付き合ってるよ』

「…」

何食わぬ顔した樹くんがそう答えていた。

慎「えっ、マジで？」

『うん。…な？』

枝豆を食べながら私の顔を覗き込んで問いかけてくる樹くんに私は軽く頷いた。

『だからあんまいじめないで』

《マジかよ、早く言えよ～》

『別に言うことじゃないだろ』

この会話を聞いて盛り上がっているのは、男性数人と樹くんだけ。

慎太郎と女の子たち、そして私はまさかの展開に唖然としていた。

慎太郎はともかく、女の子たちはきっと樹くん目当てで今日来たんだと思うから。

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