溺れる偽愛 (ページ16)

今日:35 hit、昨日:16 hit、合計:490,287 hit

16 ページ16

.
.

「…ってことなの…」

紬「は！？なにそれ」

昨日の出来事をひとつひとつ話し終えると、案の定驚いた声を上げた彼女。

まぁ、予想通りの反応で安心はしてるんだけど。

紬「なにそのドラマみたいな展開」

「私が言っちゃったから、今更辞めるだなんて言えないし。大事な物失くされちゃったから…つい」

紬「まぁ3ヶ月だけだからいいとしても、気を付けなよ」

「なにを？」

紬「なんか変なとこに連れ回されたりさ。変な人と仲良くなったりとかしないでね」

さっきまで物珍しそうにしていた紬も、こんなことになった私を心配してくれていた。

紬「ていうか問題は慎太郎でしょ。あいつどこ行ったのよ、大変なことになってるのに」

「分からない。今日来るのかな」

紬「もしかしたらこのあと来るかもね。来たら説教してあげるから」

そんな優しい事を言ってくれる紬を横目に、前の方に座っている田中樹に目を移した。

後ろ姿を見ると、本当にあの人と付き合ったのかと改めて不思議に思う。

実感なんて1ミリもないんだから。

.
.