僕たちの帰る場所3 (ページ9)

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ab side

バレンタインの一件から数日間、俺は改めてふっかの動きを追っていた。

すると、ふっかは結構な頻度でコソコソと何かしているようだ。
むしろ何で今まで気づかなかったのかというレベルで、俺は自分のポンコツっぷりに頭を抱えるほかなかった。

もちろん、店長として、お客さんの前で暗い顔を見せることはないけれど、1組のお客さまの対応が終わるたびにため息をつくほど疲れているし、バックヤードで時折携帯を確認しては、すごく怯えたような顔をしている。

「ふっか何見てんの～？メール？」
何も知らないフリをして話しかけてみると、ビクッと肩を震わせて携帯の画面を消したふっか。

fk「なんだ阿部ちゃんか。えっと、ちょっと取引先から…至急って連絡来てさ」

…そんなにしどろもどろで、嘘だってバレバレだよ。そもそも取引先からのメールなら、隠す必要なんてないんじゃない？本当は誰からなの？
そう問い詰めたいけれど、出来るはずもなくて、

「そっか、店長も大変だねぇ」
なんて茶化してみる。

fk「まあな、色んなお客さんも来るしね」
「確かに」

相槌を打ちながらも、そのふっかの言葉は何故かまた俺の胸に引っ掛かった。
誰よりもお客さんを大切にしているふっかがそんな言い方をするなんて、もしかしてお客さんの誰かとトラブルを抱えているのだろうか。
様子が変な原因はそこにあるのかもしれない。

そうだと仮定して、プレゼントやメールに怯えている様子からすると…もしかしてストーカーか？

その答えに辿り着いた瞬間、まるで難しい数学の問題が解けた時みたいに、頭の中のモヤモヤがすっきりとしたような気がした。

それならば全て説明がつく。

俺たちに黙っている理由は謎だけど、ふっかのことだから、大方店に迷惑になるなんて考えているのだろう。自分に身の危険が迫っているというのに…

とは言っても、今のところは全部俺の推測でしかない。普通に聞いても話してくれないだろうし、早いとこ証拠を探さないと。

そんな折、照と翔太があの箱のことを話しているのが耳に入った。

(照も気付いてたのか…心強い)

こうして、俺は照にふっかのボディーガードを頼み、その間に証拠を探すという作戦に出たのである。