僕たちの帰る場所3 (ページ7)

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不毛な追いかけっこページ7

fk side

だが、警察に相談しようとしたのは、結果的には失敗だった。

警察で俺を担当してくれたのは眠そうな目をしたおじさんだったが、俺がいくら被害を訴えても全く取り合ってくれなかったのだ。

『何か具体的な被害があったわけではないですし…』
「いや、でも、家まで割り出されてるんですよ」

『相手の正体は分かっているんですか？それが特定できていなければ、動くのは難しいんです』
「そうかもしれないですけど…」

最初はあくまで丁寧な言葉を崩さなかった警察だが、しまいには

『警察だって忙しいんです』
『男性がストーカー被害だなんて、過敏になってるだけでしょう』
とまで言いはじめた。
だから、結局俺はなんの成果もないまま、警察を後にするほかなかったのだ。

そして、さらに悪いことに、その後届いたメールには

『警察だなんてどういうつもり？
これ以上余計なことしたら、わかってるよね？』

という言葉とともに、隠し撮りと思われる翔太の写真が添付されていた。

(脅しのつもりかよ…)

心の中で悪態をついてみるけれど、実際のところかなり追い詰められた状況かもしれない。

俺のために、せっかく照の居場所となったお店に被害が及ぶことだけは、なんとしても避けなければならない。
まして、翔太や仲間の誰かが直接傷つけられるなんてもってのほかだ。

だったら、俺1人でなんとかするしかない。
せめて、相手が誰なのかわかれば…

そう思った俺は、何か手がかりを得られないかと考え、メールに返事をしてみることにした。

『もう警察には行かない、ごめん』

すると、すぐに返信があった。
『いいよ、今回だけは許してあげる。
なんせ、君は僕の恋人になるべき人だからね』

…え？
俺を好いている様子から、てっきり相手は女性だと思っていた。でも、相手の一人称は”僕”、つまり相手はおそらく男性だ。
どうりで、メールが来るタイミングで店内外を伺っても、それらしき相手が見つからなかったわけだ。

それにしても、男性となると、力ずくでやられたら相当危険だな…

俺は改めて、自分がとんでもなく不毛で危険な事態に巻き込まれたことを実感したのだった。