僕たちの帰る場所3 (ページ19)

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mg side

康二の写真好きは昔からで、高校でもいつもカメラを構えては俺たちクラスメイトを撮影していた。

俺はモデルという仕事柄プロのカメラマンに写真を撮ってもらうことも多かったけれど、康二が撮る俺の写真は、それらとはまた違った魅力があった。

例えばテスト勉強に悪戦苦闘しているところや、近くの河原でうたた寝しているところなど、全然キメていない瞬間の写真…言うなれば、Ren Meguroではなく目黒蓮の写真。

Ren Meguroのファンが見たら幻滅するかもしれないけれど、その写真たちは俺がちゃんと高校生だったことの記録のようで、なんだかとても嬉しかったことを覚えている。

「そんなに写真が好きならさ、プロ目指したりはしないの？」

康二に何度か聞いたことがある。でも、彼の答えはいつも決まってNOだった。

kj「昔はなりたいって思ってたけど、カメラマンとして食べていけるのってほんまに一握りやし、それだってほぼ商業カメラマンやからな…
自信ないし、それで追い詰められて写真嫌いになってしまうのも嫌やし。だから、カメラは趣味で続けて、好きなものだけ撮ろうと思ってん」

それを聞きながら、俺はあることを思い出していた。
仕事が忙しくなって余裕をなくしていた頃、2人でしたこんな話を。

kj「めめ、雑誌見たで。あんなにでっかくインタビューが載ってるなんて、びっくりしたわ」

「あーあれね、ちょっと恥ずかしいんだけど」
kj「いやいや、すっかりスターの仲間入りして、ご両親も鼻が高いやろ」

「そんなでもないって。あ、でも、この前の弟の誕生日でさ、家族に焼肉奢ったんだけど、その時は喜んでたかも」
kj「えらいなあ。俺も早く親を安心させたらんと」

家族思いの康二のことだ。
もちろん、好きなものを撮り続けていたいというのも本心だろうけど、それ以上に家族のことを考えたからこそ、そういう決断に至ったんじゃないかと思う。

康二の決めたことだし、今の仕事も楽しそうだから応援したい。
それに、俺も所詮不安定な職業だから、不安な気持ちもわかる…って、俺の場合は、そこまで考えてこの職業を選んだ訳でもないけれど。

でも時々、カメラマンになった康二も見てみたかったなあなんてちょっと残念な気持ちになったりもするんだ。