僕たちの帰る場所2 (ページ6)

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コストカットの話は、その後間もなく全員に伝えられた。それからというもの、涼太はいくつもの卸をはしごする日々が続いている。
考えてみるとは言ったものの、安価で納得のいく食材がなかなか見つからないみたいで、最近は疲れからかお店でミスをすることも増えてきた。

「涼太あんまり無理すんなよ。開店のメニュー開発の時も死にそうになってたじゃん」
dt「大丈夫」

我ながら可愛げのない言い方だと思うけれど、心配なのは本当だ。
でも、涼太は目もくれずにこう答えるだけ。普段は俺に対してそんな態度を取ることは絶対ないのに、それだけ余裕がないということだろう。

ab「俺が削減するなら変動費って言っちゃったばっかりに、ごめんね」
阿部ちゃんが困り眉で俺と涼太を見比べて言うけど、それにも涼太は答えない。なんだか嫌な空気だ。

「ねえ、涼太全然大丈夫じゃないよ」
dt「大丈夫って言ってるじゃん」
sk「まあまあ、」
dt「ホール組には関係ないでしょ」

その言葉に佐久間がはっと口をつぐみ、気まずい沈黙が流れる。ヒートアップしてしまったにしろ、まさか佐久間に当たるなんて涼太らしくない。
「おいそういう言い方ないだろ。みんな心配してんのに」
dt「これは俺のプライドの問題だから」

そうピシャリと言われてしまうと、俺らとしてもなす術がない。けれど、このままじゃ絶対に良くない。

涼太の言うプライドって何だろう。
そういえば、涼太が前に勤めていたホテルでも同じことがあったんだっけ。みんなは詳しく知らないかもしれないけど、あの時涼太はすごく悔しい思いをしているはずだ。
今回涼太がこんなに頑ななのも、それが原因なんじゃないだろうか。

これはふっかやみんなにきちんと話しておいた方がいいかもしれない。