僕たちの帰る場所2 (ページ14)

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iw side

中学の時、ダンス部を作るって言い出したのも、阿部やみんなを連れて来たのも佐久間なのに、何故かあいつは俺を部長に任命した。
しっかり者の照の方が部長に向いてるなんて言われて、俺が練習を仕切ることになったんだ。

その読みは実際正しかった。俺の仕切りは我ながら厳しめだったと思うけれど、言いすぎたりすると必ず佐久間が空気を和らげてくれた。
俺が居なくなってからは佐久間が仕方なく部長職についたらしいが、やっぱりみんなで楽しくやることを大事にしていたと聞く。

そう思うと、佐久間にインストラクターの仕事を手離させたのはやっぱり申し訳ない。
もちろんそれは全員に対して思うことだけれど、特に佐久間は今までと全く違う仕事をしている分、前職のことを残念に思うことも多かっただろう。
だから、Zuhause でこういう機会が出来て本当に良かったと思う。

「この曲、お前に目がいくように振ったから」
こっそり佐久間に声をかける。
sk「え、そういう事言うなよ、緊張すんじゃん」

「いや、お前やっぱ踊ってる時が一番楽しそうだからさ。前の仕事も好きだったんだろ」
sk「なに、照まだそのこと気にしてんの？俺が好きでこっち来たんだからいいんだって。あーでも、めめにお礼は言わないとだな。こうして今も踊れてるの、ある意味あいつのおかげだろ」

佐久間はあくまで明るく言うと、また練習に戻っていった。

(ありがとな、佐久間)

その背中を見送った俺の肩を、ポンと叩く手があった。

「びっくりした、なんだ阿部かよ」
ab「なんだとはなんだ。やっぱり佐久間はああいうやつなんだな」
「ああ」
ab「照も、佐久間のこと色々考えて振ったんでしょ？だから俺からのお礼」

全く、阿部は佐久間のことになると察しが良すぎて怖い。まあとにかく、俺は全力でショーを作るだけだ。