想いを込めて ページ43
fk side
「照と再会してから、もう半年か」
iw「ついにここまで来たんだな」
オープン前日の朝、店の前に6人並んだ俺たち。
最後の最後に残しておいた外看板の取り付け作業をみんなで眺め、感慨にふける。
店を出すと決めてからの毎日は、それまでからは想像もつかないくらい大変で、諦めそうになったことも何度もある。けれど、そのたびに誰かに励まされて、力をもらってやってきた。
それに、辛いこと以上に楽しいこともたくさんで、あっという間の半年間だった。
これからだってきっとそうだ。
この前、滝沢さんや康二くんをはじめとする関係者を呼んで開催したプレオープンでも、何かトラブルが起きると必ず誰かがフォローしてくれた。
滝沢さんも、これなら安心だって言ってくれたっけ。
そんなことを考えていると、看板を見上げていた佐久間がふと口を開いた。
sk「そういえばちゃんと聞いてなかったけど、店名、Zuhause(ツーハウゼ)っていつから決めてたの」
「最初に店のコンセプト決めた会あったろ。その後考えた」
ab「俺がスカイプ参加だったやつね。そんな早くから決めてたんだ。確か、ドイツ語で帰る場所って意味なんだよね」
「そう。別にドイツに拘ったわけじゃないんだけど、色んな国の言葉に訳してみてしっくり来たやつに決めた。久々に辞書なんて開いたわ」
みんなには事後報告になっちゃったから、ちょっと心配だったんだけど…
dt「いい名前だと思うよ、俺は」
nb「そうだな」
みんながそう言ってくれるから一安心。
「良かった。みんな、明日からもZuhauseをよろしくお願いします」
「「もちろん」」
iw「…さて、準備も完全に整ったし、前夜祭やりますか」
ab「まだ昼にもなってないけどね」
「ま、お祝いということで。明日も早いしな」
一段落ついたところで、照がみんなに呼びかける。
それに応じて、軽口を言いながら店内に入る俺たち。
sk「いよいよメンバーカクテルお披露目か」
nb「俺めっちゃ楽しみにしてたの」
dt「翔太お酒強くないんだから、程々にね」
さて、前夜祭の始まりだ。
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年1月15日 1時
