僕たちの帰る場所 (ページ32)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:532,395 hit

. ページ32

fk side

翔太と2人で出かけた例の物件は、俺の予想以上にコンセプトにぴったりだった。翔太も同意見らしく、
nb「これは即決レベルだな」
なんて言っている。

nb「じゃあ、ここおさえちゃうね。
この間取りだと、ここがバーカウンターで奥が厨房、で、こっちが客席だよね」
「ああ、そうだな」

nb「内装迷うな…ふっか飾りたいもんとかあんの？」

そう言われて、俺はドヤ顔であるものを取り出した。
「これ覚えてる？」

そのあるものとは、6本のネクタイ。ダンス部が学園祭に出たときの衣装として使ったものだった。

途端に、翔太がはあ、と大袈裟にため息をつく。

「え、ちょっと翔太、どうしたんだよ。ほら、あの学祭で踊った時のやつ…え、俺なんかそんな変なこと言ってる？」

nb「いや、わかってるけど…そういうことか」

そういうと、今度は翔太が何やらガサゴソと取り出している。
そこにあったのは、これまた衣装のリストバンド、振付ノート、よくかけてたCD、みんなでふざけて描いた似顔絵に、果てはよく寄り道したボウリング場のクーポンなど、懐かしい品ばかり。

nb「みんなから預かってきたんだよ。なんか思い出の品はないかって佐久間から声かけられて…全員がなんだかんだ持ってたことにも驚いたんだけど。
で、佐久間がなぜかふっかには秘密っていうから何かと思ったら…さてはお前」

「…お察しの通り、サプライズ失敗からの逆サプライズかけられました。佐久間にチラッと漏らしちゃったのが痛恨のミス」

nb「ふははは、なるほどな。でもまあよかったじゃん。ますます俺ららしい店になりそうだし」

「そうだな。でも、こんなにあるとお洒落に飾るの大変じゃない？」

nb「そこは俺の腕の見せ所よ。最も、これだけ広くて明るいから、これくらいの装飾入れても全然大丈夫そうだけど」

「頼りになりますわ」

…佐久間のやつ、やりやがった。
あいつはやっぱり察しがいいし、やっぱりアホだ。