僕たちの帰る場所 (ページ27)

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ab side

ふっかと照が帰った後しばらくしてからも、俺と親父は2人して呆然とするばかりだった。

長い沈黙ののち、親父がぽつりと漏らす。

『まさかあそこまで言われるとはな。
亮平は信じないかもしれないが、私は私なりに息子たちのことを考えてきたんだ』

「わかってるよ。親父は俺たちに色んなものを与えようとしてくれてた。それが、俺たちが望んでたものとは少しだけすれ違っちゃっただけだ。
それに、俺も親父に似て頑固だからさ、そのすれ違いから逃げて、相手が悪いんだって思い込んで…結果、親父は力で俺を従わせようとしたし、俺は俺で自分の殻に閉じこもることを選んだ」

『やっぱり亮平は頭がいいな。こんな状況でもちゃんと自分たちのことを分析して、言葉に出来ている。
今更こんなことを言いたくなるのも皮肉なもんだが、お前は自慢の息子だよ』

「あ、もしかして今初めて俺のこと褒めてくれたんじゃない？」
冗談っぽく俺がそういうと、親父も気が抜けたように笑った。でも、その目は次第に涙ぐんで、最後には泣き笑いのようなくしゃっとした顔になっていった。

『亮平、自分の好きな道を生きなさい。お前にとって、彼らは大事な友人なんだろう』

あくまで謝らないところがやっぱり頑固親父だなぁと思ったけれど、俺にとってはその言葉で充分すぎるくらいだった。

「ありがとう。親父には悪いけど、もう一度みんなと夢を追わせてもらうよ。
でも、もうしばらくはここにいる。せっかく久々に息子が戻ってきたんだから、ちょっとくらい家族らしいことしようぜ。初めての親孝行ってことで」

ずっと支えてくれた佐久間、傷ついてまで親父を説得してくれた照、無理やり連れ戻すのを堪えて俺に自由を与えてくれたふっかやみんな。
みんながいたからこそ、俺はもう一度立ち上がることが出来たんだ。

中学の頃から助けられてばっかりで頭が上がらないけど、その分、俺もみんなにとってそんな存在になりたい。
今度の店は、きっとそのチャンスだ。