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「兄ちゃんの暴走を止められるのって
姉ちゃんしかいないんだよな」


突然そう言った竜胆は、ふぅと慣れたように煙を吐き出した。


確かに年少出てから何度か蘭が人を殴っているところは見たが、止めなければ殺してた。と思う場面はいっぱいあった。


その心当たりに、うん。と相槌を打つ。



「姉ちゃんがいないところで喧嘩になったらまた人殺すと思う
なんとかならないかな」


『んーーー
1人につき何発って決める?』


「兄ちゃんが数えると思う?」


『思わない』


竜胆〜何発か忘れた〜。とか言って笑いながらボコボコにしてる様子が目に浮かぶ。


『じゃぁ、竜胆が蘭を止めるしかなくない?』


「俺が死ぬ方が早そう」


『……』


は?邪魔すんの?って言って殴りかかってきて兄弟喧嘩勃発だな。普通に喧嘩して帰ってくるより重症な未来が見えた。



『武器持たせたら?警棒とか』


「余計危ないじゃん!
鬼に金棒と書いて蘭に警棒って読むんだよ!」


即死するって!と必死で言う竜胆。かわいい。


『案外素手より弱くなるかもよ?』


「どんな考えでそうなるの?
武器だよ?
無課金者が課金したようなもんじゃん!」



『一回やってみよ』


「絶対死ぬって〜」



今度買いに行こうね。と言う私に、どこに売ってんだよ〜と頭を抱える竜胆は灰皿にタバコを押しつけた。



『蘭遅くない?』


「んー女でも引っ掛けてんのかな」


『は?』


そんなこと許されるとでも?


立ち上がって探しに行こうと足を踏み出した瞬間、人と人の間から蘭の顔が見えた。



『あ、帰ってきた』


「ん?なに〜?
蘭ちゃんが居なくて寂しかった?」


立っている私の腰を抱き寄せて言う蘭の首にそっと腕を回す。



『うん、死んじゃうところだった』


相手の女が。



心の声の部分を読み取った竜胆が乾いた笑みを浮かべる。



「んじゃ帰るか〜
目的も果たしたし」


『目的?なんの?』


「んーー」


抱き合ったまま腰を反らせて、もうすっかり頭ひとつ分高い蘭の目を見つめて聞く私の質問を、はぐらかすように優しくキスをした。


周りからは少し歓声のような悲鳴のような声が聞こえる。



その声に唇を離すことなくニヤッと僅かに笑った蘭は角度を変えるように頭を動かした。


え?と思ったと同時に竜胆の腕が伸びてくる。



「はいそこまでー」


私と蘭の体を離した竜胆はニヤニヤと笑う蘭をジロっと睨む。



再度帰るか。と言って歩い出した蘭の後ろで竜胆が手を繋いだ。

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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ!!(*゚ロ゚)!! ありがとうございます!!✨✨   頑張ります!!🥰 (2022年8月18日 12時) (レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い!!  これからも頑張ってください(^_^) (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです!ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます! かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玉兎 | 作成日時:2022年5月14日 14時

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