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店についてオープンさせるなり、一台のバイクのカバーを外したシンイチローは私を見て、ほら。と言った。
『あ、私の』
「おー、お前が急げっつったから急いだのに全然電話に出やがらねぇ」
『ご、こめん…』
部品を新しいのにして埃も拭き取られ、綺麗になったバイクにそっと触れる。
『ありがとう』
ふふっと笑ってバイクを撫でる私に、おー。とだけ返したシンイチローは違うバイクの前に座っている。
『いくらだった?』
「いらねぇよ」
『え、払うよ』
「…もうもらった」
『いや、何も渡してないけど』
全くこちらを見ようとしないシンイチローの顔を覗き込むと頬を赤く染めていて、目が合うとパッと顔を背けた。
『え、まさか寝てる私に何かした!?』
尚も何も言わないシンイチローの胸ぐらを掴んで大きく揺さぶる。
『ねぇ!!』
「わかったわかったから!」
パッと手を離した瞬間に立ち上がって1歩下がったシンイチローは顔が赤いまま、ポッケからケータイを取り出して画面を開いた。
その画面をこちらに向けると、そこに写ってたのは私の寝顔だ。
横顔に光が差し込み、白い髪は光を反射してフィルターがかけられているような美しさを醸し出していた。
『ちょ、ちょっとヤダ消して!!』
慌ててケータイを奪おうとするが、腕を上に上げられてしまいジャンプをしても手が届かない。
シンイチローの肩に手をついてピョンピョンと跳ねる。
「危ねぇからやめろ!」
『消してくれたらやめてあげるわ!』
飛び続ける背後から聞き慣れたエンジン音が聞こえた。
「真ちゃん?……A!!?」
シンイチローの胸ぐらを掴みながら右手を伸ばした状態で、ん?と振り向くと、バイクから飛び降りるように降りて走ってくるワカの姿があった。
その勢いのままギュッと抱きしめられ、必然的にサンドウィッチ状態になる。
『うっ…くるし…』
「こっっっのバカ!!!
今まで何してたんだよ!!」
『ひっ』
さすが白豹…普通に怖い。
『ご、ごめん…なさ、、ぃ…』
「こんな傷までつけやがって!!」
両頬を両手で包み強制的に上を向かされた顔の前にはワカの整った顔。
でもその顔はなんだか苦しそうで、いつもみたいに顔がいい。なんて冗談を思ってる場合ではない。とわかってはいるが顔がいい。
そっと同じようにワカの顔を包んだ。
『ごめんね』
キュッと眉間に皺を寄せたワカは優しく抱きしめてくれた。
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玉兎(プロフ) - なるさん» はっ!!(*゚ロ゚)!! ありがとうございます!!✨✨ 頑張ります!!🥰 (2022年8月18日 12時) (レス) id: 2cb29c266f (このIDを非表示/違反報告)
なる - やっぱりこのシリーズとっても面白い!! これからも頑張ってください(^_^) (2022年8月18日 11時) (レス) @page25 id: 4373cfedf7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» いつも楽しみにしてくださって嬉しいです!ありがとうございます(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)✨✨ (2022年5月25日 21時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 蘭ちゃんに一体何が…続きが気になります✨ (2022年5月25日 15時) (レス) @page48 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 久遠さん» 久遠さんいつもありがとうございます! かなり増えましたね笑 (楽しくてつい書き込んでしまった…) 5も引き続きよろしくお願いしますね♡(≧ω≦ ) (2022年5月24日 20時) (レス) id: 99723d5af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉兎 | 作成日時:2022年5月14日 14時