4話 ページ4
Aが唇を噛んでそれを閉じようとした時、まるで抵抗するかのようにノートがぱさりと手から滑り落ちて、軽い音をたてて地面に叩きつけられる。心臓が大きく鼓動する。墓で転んだ幼き日のような、根拠の無い罪の意識がどっと形をもって雪崩込んでくる恐怖。
慌てて拾いあげようとしたとき、開かれていた最後のページ──そこに捺されていた朱いろの判子に、目がいく。
徒矢神社
見覚えがあった。
この学校の裏にある鬱蒼とした森、いや寧ろ山だろうか。そこの頂上に同じ名前の神社がある。Aはどうしてか、必ずやそこに行かねばならない、と震えるほどの使命感に襲われて、のろのろと立ち上がった。
幼い頃のAはよく、いやなことがあったときにふらりと神社へ立ち寄ったものだ。きっかけはなんだったか、はっきりとは思い出せないが、何かがあって__それを境にぱったり行かなくなってから、いったい何年経ったのだろうか
*
きけん ちかづいてはいけません
裏山のふもとの道にはそんな陳腐な看板がたてられている。錆びついて曲がった、茶色の看板、夏野はそれをどこか虚ろで焦点の合わない目で持って一瞥し、
ふいと目を逸らして、山通にいっぽ、踏み出した。
遠くで夏野を責めるように、烏が鳴く。
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桜華(プロフ) - こんにちは!初コメント失礼致します!神様モチーフの素敵な作品、これからどんなことが待っているのかワクワクが止まりません!無理のないよう、更新頑張ってください!青,い,鳥の方、フォロリク失礼致します。 (2022年7月3日 15時) (レス) @page8 id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kaniska | 作成日時:2022年7月1日 17時