22話 ページ22
「んなの神隠し一択やん」
「はあ?」
翌朝、まだほんのすこし眠そうながらきちんと集合場所まできてくれたAさんをつれてクラスメイトの捏島の家を訪ねて、事情を話して、一言目がこれだ。
天乃は思わず素っ頓狂な声を出してしまって、Aが驚いたように肩を揺らすので仕切り直そうと咳払いをする。
「神隠し、て、そんなんお話ん中だけのことやろ……、Aさんがほんまの神様に騙されてるゆうんか…」
「可愛いしな」
天乃は至って真面目なのに鳥井が余計な茶々をいれて、捏島もうんうん頷いた。AさんはAさんではにかんで頬に手当たりするもんだから天乃の堪忍袋の尾はぷっつん切れた。元々短めなのである。
「唯一の博識な友人やと思ってたんにアテはずしたわ、最悪や二度と聞かへん」
「面白そうやし俺も着いてっていいすか、Aさん」
「いいけど…」
へこへこごまをするように、わざとらしい敬語でAさんに話しかける捏島はなんとも小憎たらしい。Aさんが頷くとワンピースの裾がひらひら揺れて、アAさんって白のワンピース、似合うな、なんて天乃の鼻の下が伸びた。
「ロボロはキモイ顔しとるしほっとこな。三人で図書館いこおや」
「うん、でも天乃くんは本当にいいの?」
「お前ら〜〜あほなんか!?言い出しっぺはおれやねん!俺の言うことちゃんと聞けや!」
「Aさんにもお前らとか言うんか、ロボロお前、ド失礼やな」
捏島ア!と天乃が怒鳴っても、何処吹く風で笑っている。天乃は拳を握ってぷるぷるした。
馬鹿ふたり、美人ひとり、であまりにも凸凹や──と頭を抱えていると、それまで黙って諍いを見ていたAさんが遠慮がちに手をあげた。
*
236人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜華(プロフ) - こんにちは!初コメント失礼致します!神様モチーフの素敵な作品、これからどんなことが待っているのかワクワクが止まりません!無理のないよう、更新頑張ってください!青,い,鳥の方、フォロリク失礼致します。 (2022年7月3日 15時) (レス) @page8 id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Kaniska | 作成日時:2022年7月1日 17時