11話 ページ11
「…、あっついな」
ショッピは赤い舌をちろりと出して、ソーダ味のアイスが溶けないうちに食べきってしまおうと、思いきってひと口齧った。
喉をすぎてもなおそこに冷たさの残る、あまいラクトアイス。普段ショッピはもちろん人間のたべものなど口にしないのだけれど、夏に齧るバーアイスだけは別とこっそり心に決めている。
それに、まんじゅうや果物はあってもアイスはお供え物にはならないから、こうしてAが買ってきてくれない限りは口にできない、非常にレアなデザートでもあった。
「ショッピ、ふ、んむ、おいしい？アイス」
「ん、こぼしとる」
かすかに頷いて、Aの胸元に垂れた薄水色のあまそうな液体を目線で指す。
バーを持った手からも必死に舐め取ろうとするくちもとからもだらだらと甘い汁を垂らす不器用なAを見て、ショッピはやれやれ、と嘆息する。
知覚過敏だから、Aはアイスを食べるのが遅い。それはAがまだ小さかったころから変わっていない。
あのころはAのくちもとを拭いて、残ってしまったバーアイスを食べてあげる係がそばにいたものだが。ショッピは、ショッピにしか分からないことを考える。
「ひとりじゃ、アイスも食えんのや」
「おかしいな、まえは、こんなんじゃ…」
Aはショッピのひとりごとに反応してか、怪訝そうに首を捻っていた。もう諦めたのか、忘れてしまったのか、数秒前までAの握っていたバーアイスは、溶けた液体と棒だけが残った状態で、見るも無惨に地面に捨ててある。蟻が行列を作り始めていた。
「ザ、夏、って感じがして、普通じゃない。今度の夏は」
「何？」
「ふつうじゃない」
Aは一点を見つめて繰り返す。
「どこら辺がおかしいって言うん」
「…こういうとこ」
Aは、質問に乗じて鳥居から降り、Aの肩にもたれかかる格好になっていたショッピの腕を振り払った。
途端に、がらりとショッピの雰囲気が変わる。
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桜華(プロフ) - こんにちは！初コメント失礼致します！神様モチーフの素敵な作品、これからどんなことが待っているのかワクワクが止まりません！無理のないよう、更新頑張ってください！青,い,鳥の方、フォロリク失礼致します。 (2022年7月3日 15時) (
レス) @page8 id: 1bda5ccdb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kaniska | 作成日時：2022年7月1日 17時
